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十字を切る
「十字を切る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
十字を切るの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
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「さん・せばすちあん」の上半身《かみはんしん》。彼は急に
十字を切る。それからほっとした表情を浮かべる。
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尻っ尾の長い猿....
「職工と微笑」より 著者:松永延造
めから皆双子同志のように似ているのだ……。 或る暗い夜、悪い運命の橋が筋交いに
十字を切る所の私の室から、私と云う一つの蝋燭が消えたとする。だが、私は死んだので....
「幻影の盾」より 著者:夏目漱石
る。クララには逢えぬ。勝てばクララが死ぬかも知れぬ。ウィリアムは覚えず空に向って
十字を切る。今の内姿を窶《やつ》して、クララと落ち延びて北の方《かた》へでも行こ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
そう。おれたちのあとから来た者は、みんなその毒のために死んでしまうだろう。空中に
十字を切る真似をしよう。そうすると、神聖なシンボルの真似をして、外部に呪詛をまき....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
女の口紅は思いきり濃くなり、やけに意気っぽく帽子を曲げる。AHA! 夕陽に
十字を切る 火酒のように澄み切った空気のなかを、うそ寒い日光が白くそそいで、し....
「胚胎」より 著者:宮本百合子
う。 第一の女 ほんとうにねえ――とうとう。 低く云って指環の多い方の手で
十字を切る。老近侍は法王の去った方をじっーと見つめる。 静かに幕 第一....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
りその場にたたずんでいたが、ついに彼はきっぱりと心を決めた。あわただしく習慣的な
十字を切ると、すぐに何かにっこり一つほほえんでから、彼は自分にとって恐ろしいその....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
祈っていた。そしてある日、父といっしょに田舎《いなか》の教会堂を見物に行き、父が
十字を切るのを見て、非常にうれしかった。聖史の物語は彼の心の中で、リューベザール....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ちには何となく直線的なものがあって、きっぱりと口をきく時には軍人らしい趣となり、
十字を切る時には神学校生徒らしい趣となった。話が上手で、学者と思われることもあっ....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
あった。 彼女は日曜毎に教会に行った。そしてよく私を誘った。彼女は膝を突いて、
十字を切る形など板についていた。 私は学校のリーダーでマッチ・ガールというのを....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
金の十字架がはめこんであったらしく、彼の姿が消える前にその十字架に礼を払って胸に
十字を切る。そしてパッと身をひるがえして煙の如くに遁走する。そこで金鍔次兵衛の名....
「かもじの美術家」より 著者:神西清
にそうなるのでした。 そこでわたしたちはみんな、心もそらになって、こんなふうに
十字を切るのです。 「主よ、恵ませたまえ、救わせたまえ。一たい誰のあたまに、あの....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
馬をひやかすようないい草。一方には昨夜《ゆうべ》の夜釣の小鯖《こさば》の目勘定、
十字を切るもの、子をあやすもの。そこへ放し飼いの牛までまじって、モウモウ、オギャ....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
を増させるような、はしたない真似は致しませぬ、これだけは屹度お誓い申します。(と
十字を切る) 女子 (感激し)誓うとおっしゃるまでの御志、私はどうしておろそかに....