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十指
「十指〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
十指の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「松江印象記」より 著者:芥川竜之介
手を免がれて、記憶すべき日本の騎士時代を後世に伝えんとする天主閣の数は、わずかに
十指を屈するのほかに出ない。自分はその一つにこの千鳥城の天主閣を数えうることを、....
「喝采」より 著者:太宰治
ちく》、蓬髪《ほうはつ》、ぼうぼうの鬚、血の気なき、白紙に似たる頬、糸よりも細き
十指、さらさら、竹の騒ぐが如き音たてて立ち、あわれや、その声、老鴉《ろうあ》の如....
「虚構の春」より 著者:太宰治
なねばならぬ。きのう、きょう、二日あそんで、それがため、すでに、かの穴蔵の仕事の
十指にあまる連絡の線を切断。組織は、ふたたび収拾し能《あた》わぬほどの大混乱、火....
「めくら草紙」より 著者:太宰治
あらねばならぬ。鉄の原則。 いま、読者と別れるに当り、この十八枚の小説に於いて
十指にあまる自然の草木の名称を挙げながら、私、それらの姿態について、心にもなきふ....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
ントランシジャンとかそう云った手堅い巴里新聞の学芸欄に、世界尖鋭画壇の有望画家の
十指の一人にむす子の名前が報じられて来るようになって来た。むす子はその中でも最年....
「ある抗議書」より 著者:菊池寛
たが、彼は此の事件ばかりの犯人ではありませんでした。新聞紙の報ずるだけでも、彼は
十指に余る人間の命を絶ち、多くの子女の貞操を蹂躙し、数多の良民をして無念の涙に咽....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
ろうか。その二十日間に古我予審判事は或いは家宅捜索をなし、或いは実地検証をなし、
十指に余る証人を召喚し、中には遙々広島県下から呼び寄せたものさえあるが、苦心肝胆....
「トカトントン」より 著者:太宰治
答を与えた。 拝復。気取った苦悩ですね。僕は、あまり同情してはいないんですよ。
十指の指差すところ、十目の見るところの、いかなる弁明も成立しない醜態を、君はまだ....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
、才智の廻る所から、中々只の人ではない、今にあれはえらい人になると云っていたが、
十指の指さす処|鑑定は違わず、実に君は大した表店を張り、立派な事におなりなすった....
「女性崇拝」より 著者:岡本かの子
西洋人は一体に女性尊重と見做されているが、一概にそうも言い切れない。欧州人の中でも一番女性尊重者は
十指の指すところ英国人であるが、英国人の女性尊重は客間だけの女性尊重で、居間へ入....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
たのであるが。 こはいかに掌は、徒に空を撫でた。 慌しく丁と目の前へ、一杯に
十指を並べて、左右に暗を掻探ったが、遮るものは何にもない。 さては、暗の中に暗....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
は、暗誦がちっとも出来なかった。その頃、未だ九九がすらすらと云えなく、減算なども
十指を使っている位だったから、長い勅語など、到底覚え切れなかった。私は短い、孝経....
「褐色の求道」より 著者:岡本かの子
合のよい手の合せ方をすればいいのです。けれども普通はこれです」 と言って普通の
十指の合せ方をしてみせた。 「ほんとに、これでいいんですか」と自分も真似ながら頻....
「馬琴の小説とその当時の実社会」より 著者:幸田露伴
うしても最高の地位を占めて居る人でございまして、十二分に尊敬すべき人だとは、十目
十指の認めて居るところでございます。なるほど酸いも甘いも咬み分けたというような肌....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
滑る、ハッと胸騒ぎがする、蟻地獄の縁を匐い廻る小虫の惨めさを思い出す。全身の力を
十指に籠めて軽く足を内壁にあてがいながら辛く廻り終ると、崖が急にのり出して私達を....