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十重二十重
「十重二十重〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
十重二十重の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
りし参覲途上のお行列は、たちまち騒然と乱れたち、まず何より先にと供まわりの一隊が
十重二十重《とえはたえ》の人楯《ひとだて》つくって、尾州侯豆州侯お二方のお召し駕....
「鎖工場」より 著者:大杉栄
だか俺のからだの節々が痛み出して来た。気をつけて見ると、俺のからだにもやっぱり、
十重二十重にも鎖が巻きつけてある。そして俺もやっぱりせっせと鎖の環をつないでいる....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
私の身辺には有らゆる社会の活動と優れた人間とがある。大きな力強い自然が私の周囲を
十重二十重に取り巻いている。これらのものの絶大な重圧は、この憐れな私をおびえさす....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
、誰よりも早く見たいがためだった。 市長室に据えつけられた金庫の前は、たちまち
十重二十重に人垣で囲まれた。遅れ走せに駆けつけた議員たちは、熱狂のあまり、市長の....
「小田原陣」より 著者:菊池寛
たらしい。霧を伴い、亦屡々豪雨の降ったことは当時の戦記の到る所に散見して見える。
十重二十重に囲まれ、その上連日の霖雨であるから、いくら遊び事をして居たって、城内....
「人造人間戦車の機密」より 著者:海野十三
全身に、妙な白い入墨をした原地人兵が、手に手に、盾をひきよせ、槍を高くあげ、
十重二十重の包囲陣をつくって、海岸に押しよせる狂瀾怒濤のように、醤の陣営|目懸け....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
、どれも皆樹木の茂った山ばかり、尖った岩山などはただの一つも見えません。それ等が
十重二十重に重なり合って絵巻物をくり拡げているところは、全く素晴らしい眺めで、ツ....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
、善行の結果も永遠不滅である。清き魂の赴く所には、常に良き環境が待ち構えて居り、
十重二十重にその一挙一動を助けてくれる。 すでに述べた通り、生命は不可分の単一....
「現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
ととまった。 玄関かちサッと現れた一群の人物、門をしめて駈けつけた一群の人物、
十重二十重に車をとりかこむ。みんな白衣をきている。 これぞ、マニ教神殿! サ....
「雪霊続記」より 著者:泉鏡花
の一息死ぬ、真空の一瞬時には、町も、屋根も、軒下の流も、その屋根を圧して果しなく
十重二十重に高く聳ち、遥に連る雪の山脈も、旅籠の炬燵も、釜も、釜の下なる火も、果....
「正雪の遺書」より 著者:国枝史郎
その実そこで心静かに自殺する意なのでございました。 今や旅宿は捕り方によって、
十重二十重に囲まれて居ります。容易に踏み込んで来られますのに、それを来ないという....
「取舵」より 著者:泉鏡花
異状を示したり。 邇く水陸を画れる一帯の連山中に崛起せる、御神楽嶽飯豊山の腰を
十重二十重に※れる灰汁のごとき靄は、揺曳して巓に騰り、見る見る天上に蔓りて、怪物....
「わが童心」より 著者:佐藤垢石
稲含山、多野の西御荷鉾山、東御荷鉾山。遠くは武州と甲州にまたがる奥秩父の連山が、
十重二十重に霞の奥の果てまで連なっている。近きは紫紺に、遠きは浅葱色に、さらに奥....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
敷づつみと折革鞄を持っていたでしょう。あの中が皆謡本さ、可恐い。……その他一同、
十重二十重に取囲んで、ここを一つ、と節を突いて、浮かれて謡出すのさえあるんです。....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
たい、描きたいという念は、いっそう深くなった。 白峰を写すには何処がよかろう、
十重二十重山は深い。富士のように何処からも見えるというわけにはゆかぬ。地図を調べ....