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「千に一つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

千に一つの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
放浪」より 著者:織田作之助
で売っていた牛丼は、繊維が多く、色もどす赤い馬肉だった。食べながら、別府へ行けば千に一つ小鈴かオイチョカブの北田に会えるかも知れぬと思った。 天保山の大阪商船....
竹青」より 著者:太宰治
之を王の使いの烏として敬愛し、羊の肉片など投げてやるとさっと飛んで来て口に咥え、千に一つも受け損ずる事は無い。落第書生の魚容は、この使い烏の群が、嬉々として大空....
もの思う葦」より 著者:太宰治
対岸の火事どころの話でない。 自分の作品のよしあしは自分が最もよく知っている。千に一つでもおのれによしと許した作品があったならば、さいわいこれに過ぎたるはない....
四次元漂流」より 著者:海野十三
った。 第二の、偶然に錠が下りたと考えるのは、あまりに実際に遠い。そんなことは千に一つも万に一つもあろうはずがない。係官が錠を調べたところ、その錠は完全なもの....
丹下左膳」より 著者:林不忘
がし土子泥之助兵法の師諸岡一羽|亡霊《ぼうれい》は敵討ちの弟子あり、うんぬん……千に一つ負くるにおいては、生きて当社に帰参し、神前にて腹十文字にきり、はらわたを....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
の底深い情熱をもち得る対象にめぐり合えるか合えないかということもまことにこれこそ千に一つの兼ね合いですものね。めぐり合ったとき、どうせ自分は未熟きわまるもので、....
大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
の侍のうち、弓術にかけてはまず源兵衛と人も許し自分も許すその手練の引き絞った弓、千に一つの失敗もあるまいと、供の一同声を殺し、矢先に百の眼を集めたとたん、弦音高....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
った。 日ぐれ草取り寂してならぬ、鳴けよ草間のきりぎりす 親の意見と茄子の花は、千に一つのむだもない めでた若松|浴衣に染めて、着せてやりましょ伊勢様へ 思いと....
南国太平記」より 著者:直木三十五
う貴殿の在所を知っては、某として、御見逃し仕る訳には参らぬ。討たれるか、討つか、千に一つの勝負を決しとうござる」 月丸の言葉は静かであったが、その決心は、眼の....
三国志」より 著者:吉川英治
いや曹操の生命が保たれたのはむしろ奇蹟といってよかった。 「そちがいなかったら、千に一つもわが生命はなかったろう」 曹操は、悪来へ云った。――夜に入って大雨と....
三国志」より 著者:吉川英治
おるであろう。かかる弱体をもって、曹操に当らんなど、思いもよらぬことである。ただ千に一つのたのみは、袁紹の来援であるが、これとても……」 彼の正直な嘆息に、帷....
放浪」より 著者:織田作之助
で売っていた牛丼は、繊維が多く、色もどす赤い馬肉だった。食べながら、別府へ行けば千に一つ小鈴かオイチョカブの北田に会えるかも知れぬとふと思った。 天保山の大阪....