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「千鳥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

千鳥の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
松江印象記」より 著者:芥川竜之介
町民の愚は、誠にわらうべきものがある。 橋梁に次いで、自分の心をとらえたものは千鳥城の天主閣であった。天主閣はその名の示すがごとく、天主教の渡来とともに、はる....
大川の水」より 著者:芥川竜之介
見た。自分は幾度となく、霧の多い十一月の夜《よ》に、暗い水の空を寒むそうに鳴く、千鳥の声を聞いた。自分の見、自分の聞くすべてのものは、ことごとく、大川に対する自....
老年」より 著者:芥川竜之介
ろく点々と数えられる。川の空をちりちりと銀の鋏《はさみ》をつかうように、二声ほど千鳥が鳴いたあとは、三味線の声さえ聞えず戸外《そと》も内外《うち》もしんとなった....
海のほとり」より 著者:芥川竜之介
の落ちた、人気《ひとけ》のない渚《なぎさ》を歩いていた。あたりは広い砂の上にまだ千鳥《ちどり》の足跡《あしあと》さえかすかに見えるほど明るかった。しかし海だけは....
婦系図」より 著者:泉鏡花
は簪の花とともに、堅くなって膳を据えて、浮上るように立って、小刻に襖の際。 川千鳥がそこまで通って、チリチリ、と音が留まった。杯洗、鉢肴などを、ちょこちょこ運....
朱日記」より 著者:泉鏡花
ぞ、そんな娘を見掛けた事はない。しかもお前、その娘が、ちらちらと白い指でめんない千鳥をするように、手招きで引着けるから、うっかり列を抜けて、その傍へ寄ったそうよ....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
っちて附着けたような不恰好な天窓の工合、どう見ても按摩だね、盲人らしい、めんない千鳥よ。……私あ何んだ、だから、按摩が箱屋をすると云っちゃ可笑い、盲目になった箱....
海の使者」より 著者:泉鏡花
かに鳥らしく聞こえるが、やっぱり下の方で、どうやら橋杭にでもいるらしかった。 「千鳥かしらん」 いや、磯でもなし、岩はなし、それの留まりそうな澪標もない。あっ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
したね。私が飛んだ『べッかッこ』をした。」 「もう、どうぞ。」 お京は膝に袖を千鳥に掛けたまま、雌浪を柔に肩に打たせた。 「大目玉を頂きましたよ、先生に。」 ....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
側の廂を籠めて、処柄とて春霞、神風に靉靆く風情、灯の影も深く、浅く、奥に、表に、千鳥がけに、ちらちらちらちら、吸殻も三ツ四ツ、地に溢れて真赤な夜道を、人脚|繁き....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
、四辺を見ながら、その苫船に立寄って苫の上に片手をかけたまま、船の方を顧みると、千鳥は啼かぬが友呼びつらん。帆の白きより白衣の婦人、水紅色なるがまた一人、続いて....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
られますものを、どういうものか、廊下々々を大廻りをして、この……花から雪を掛けて千鳥に縫って出ましたそうで。……井菊屋のしるしはござりますが、陰気に灯して、暗い....
化鳥」より 著者:泉鏡花
物を着た間屋の女だの、金満家の隠居だの、瓢を腰へ提げたり、花の枝をかついだりして千鳥足で通るのがある。それは春のことで。夏になると納涼だといって人が出る。秋は蕈....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
、一心欲見仏、不自惜身命、」と親仁は月下に小船を操る。 諸君が随処、淡路島通う千鳥の恋の辻占というのを聞かるる時、七兵衛の船は石碑のある処へ懸った。 いかな....
式部小路」より 著者:泉鏡花
は、黒繻子と、江戸紫に麻の葉の鹿の子を白。地は縮緬の腹合、心なしのお太鼓で。白く千鳥を飛ばした緋の絹縮みの脊負上げ。しやんと緊まった水浅葱、同模様の帯留で。雪の....