半折[語句情報] »
半折
「半折〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
半折の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「兄たち」より 著者:太宰治
夏でありましたが、そのとしのお正月には、応接室の床の間に自筆の掛軸を飾りました。
半折に、「この春は、仏心なども出で、酒もあり、肴《さかな》もあるをよろこばぬなり....
「安井夫人」より 著者:森鴎外
でも仲平は無頓着に黙り込んで、独り読書に耽《ふけ》っていた。坐右《ざゆう》の柱に
半折《はんせつ》に何やら書いて貼《は》ってあるのを、からかいに来た友達が読んでみ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
に歌をよみかわしたりするような、ささやかな席が開けた。そこへ紅い毛氈を持ち込み、
半折の画箋紙なぞをひろげ、たまにしか見えない半蔵に何か山へ来た形見を残して置いて....
「旅愁」より 著者:横光利一
は二人の間に対峙し合う秘かなものには気附かぬらしい無造作な様子で、すぐ次に奥から
半折を持って出て来ると、またそれを拡げて二人に見せた。中に書かれた文字は五字でど....
「夏目漱石先生の追憶」より 著者:寺田寅彦
るので脂が滲透して鼈甲色になっていた。書斎の壁にはなんとかいう黄檗の坊さんの書の
半折が掛けてあり、天狗の羽団扇のようなものが座右に置いてあった事もあった。セピア....
「青年」より 著者:森鴎外
聞えない。只早川の水の音がごうごうと鳴っているばかりである。伊藤公の書いた七絶の
半折を掛けた床の間の前に、革包が開けてあって、その傍に仮綴の inoctavo ....
「平凡」より 著者:二葉亭四迷
形《かた》の如く床の間もあって、年中|鉄舟先生《てっしゅうせんせい》やら誰やらの
半折物《はんせつもの》が掛けてあって、花活《はないけ》に花の絶えたことがない……....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
人の画界は日本の洋画界よりもよほど商売として成り立っているのでちょうど日本画家の
半折画といった調子のことをやるのだと思う。例えば満洲辺で鉄斎の半切画を一枚見て感....
「一九二九年一月――二月」より 著者:宮本百合子
ェホフが薬罐を下げて走ったように Kも駆けて食物を調えなければならぬ。 一ヵ月
半折角休養所に居た。なおり切らないところを、そういう旅行で疲れ、モスク※で再び許....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
。彼女は般若の面を荒々しく画いて私にくれた。私は観音のプロフィールと梅の木とを、
半折に配置してやはり墨だけでかき、彼女に捧げた。 「うれしいね。私は……。私、学....
「銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
待たせるわねえ」 まだ十分しか待たないのに。 床に海棠がいけてあった。春山の
半折が懸かっていた。残鶯の啼音が聞こえて来た。次の部屋で足音がした。 「いらっし....
「京鹿子娘道成寺」より 著者:酒井嘉七
には、あまりにも冗長に過ぎる感じを抱かしめる。 書の体裁は、五六十枚の美濃紙を
半折し、右端を唄本のように、綴り合せたもので、表紙から内容に至るまで、全部、毛筆....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
の根の 麓を雲の上に見んとは と詠んでいられます。それを後に福羽美静翁が
半折に書いて、自ら讃歌を添えて贈られたのが、懸物になって残っていました。俳諧は大....
「円太郎馬車」より 著者:正岡容
家 梅咲くや財布のうちも無一物――禅味のある一流の字で認められた山岡鉄舟先生の
半折をお手本にして、三遊亭圓朝は、手習いをしていた。浅草代地河岸の圓朝の宅。ツル....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
リヤの下で、置酒交歓、感興成っていつ果つべくも見えない。土地の美妓も数多見えた。
半折や短冊を後から後からと書かされる。初めには忸怩として差控えたが、酔うに従って....