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半日
「半日〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
半日の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
。」
玄鶴はこの褌を便りに、――この褌に縊《くび》れ死ぬことを便りにやっと短い
半日を暮した。しかし床の上に起き直ることさえ人手を借りなければならぬ彼には容易に....
「竜」より 著者:芥川竜之介
のを今か今かと待って居りました。
「すると恵印《えいん》がそこへ来てから、やがて
半日もすぎた時分、まるで線香の煙のような一すじの雲が中空《なかぞら》にたなびいた....
「或る女」より 著者:有島武郎
《す》えて小ざっぱりした座ぶとんにすわると、にっこりほほえみながら、
「これなら
半日ぐらい我慢ができましょう」
といった。
「僕はどんな所でも平気なんですがね....
「或る女」より 著者:有島武郎
した。一つ船の中に朝となく夜となく一緒になって寝起きしていたものを、きょう始めて
半日の余も顔を見合わさずに過ごして来たのが思った以上に物さびしく、同時にこんな所....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
《たこ》のような大きな頭だけが彼れの赤坊らしい唯《ただ》一つのものだった。たった
半日の中《うち》にこうも変るかと疑われるまでにその小さな物は衰え細っていた。仁右....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
取り上げて目の前に据えた時、君は軽い疲労――軽いと言っても、君が船の中で働く時の
半日分の労働の結果よりは軽くない――を感じながら、きょうが仕事のよい収穫であれか....
「三つの窓」より 著者:芥川竜之介
に出来ないのに違いなかった。のみならず自殺の行われ易い石炭庫の中にもいないことは
半日とたたないうちに明かになった。しかし彼の行方不明になったことは確かに彼の死ん....
「親子」より 著者:有島武郎
不安の色が、ちらりとその眼を通り過ぎた。 農場内を一とおり見てまわるだけで十分
半日はかかった。昼少し過ぎに一同はちょうどいい疲れかげんで事務所に帰りついた。 ....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
小言をいってから独りになると何んともいえない淋しさに襲われて、部屋の隅でただ一人
半日も泣いていた記憶も甦った。クララはそんな時には大好きな母の顔さえ見る事を嫌っ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
。」 「分ったよ。」 「直ぐにも頼む、もう、あの娘は俺の命だから、あの娘なしには
半日も――午砲! までも生きられない。ううむ。」 うむと唸って、徳利を枕にごろ....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
しゃます心じゃろが、お互に年紀じゃぞや。今の時世に、またとない結縁じゃに因って、
半日も早うのう、その難有い人のお姿拝もうと思うての、やらやっと重たい腰を引立てて....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
た。僅か半里か一|里の隣りの村に行くのにさえ、やれ従者だ、輿物だ、御召換だ……、
半日もかかって大騒ぎをせねばならぬような、あんな面倒臭い現世の生活を送りながら、....
「恒藤恭氏」より 著者:芥川竜之介
へ、水彩画の写生に出かけしものなり。僕もその御伴を仰せつかり、彼の写生する傍らに
半日本を読みし事も少からず。恒藤の描きし水彩画中、最も僕の記憶にあるものは冬枯れ....
「ドモ又の死」より 著者:有島武郎
して……けれどもお金にはなるわね。あなたがたみたいに食べるものもなくなっちゃ私は
半日だってやり切れないわ。大の男が五人も寄ってる癖に全くあなたがたは甲斐性なしだ....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
かった掘割さえ大川に通じていた。僕は時々空気銃を肩にし、その竹やぶや雑木林の中に
半日を暮したものである。どぶ板の上に育った僕に自然の美しさを教えたものは何よりも....