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半睡
「半睡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
半睡の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
は半分眠ったようにぼんやりして注意するともなくその姿に注意をしていた。そしてこの
半睡の状態が破れでもしたらたいへんな事になると、心のどこかのすみでは考えていた。....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
氈《じゅうたん》の上に散らばって落ちているようであった。 「ちぇっ、うるせいぞ」
半睡半醒の状態にあったドレゴは如何なるわけにて不思議にもマリヤの額縁が半分に叩き....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
した、こういう怪談を覚えている。――ある日の午後、「てつ」は長火鉢に頬杖をつき、
半睡半醒の境にさまよっていた。すると小さい火の玉が一つ、「てつ」の顔のまわりを飛....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
湧き上る渦の音を聞いて復一の孤独が一層批判の焦点を絞り縮めて来た。 復一は半醒
半睡の朦朧状態で、仰向けに寝ていた。朦朧とした写真の乾板色の意識の板面に、真佐子....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
癲癇でもヒステリー発作でもないよ。また、心神顛倒は表情で見当がつくし、類死や病的
半睡や電気睡眠でもけっしてないのだ」と云って、法水はしばらく天井を仰向いていたが....
「生と死との記録」より 著者:豊島与志雄
度をした。私は堯を毛布にくるみなおねんねこにくるんで、胸に抱いて車に乗った。堯は
半睡の状態に居た。車の中で一度軽い痙攣が来た。私は、幌の中の狭い天地に眼を伏せて....
「ヒューメーンということに就て」より 著者:豊島与志雄
然し、所謂ヒューメーンなるものは、地面の上に寝転んで日向ぼっこをすることである。
半睡の眼であたりを見廻すことである。周囲の事物の奥底に採り入ろうとする努力は勿論....
「奇怪な話」より 著者:豊島与志雄
、両側に向い合って、その一つ一つに、見ず知らずの人たちが、一人ずつもぐりこんで、
半睡半醒の意識を、汽車の動揺と音響とにゆすられている。引寄せたカーテンについてる....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
行ってすわった。一人きりの時には、しきりなしに音階をひいて喜んだ。そうしてると、
半睡の状態や、みずから語ってる夢などを、心地よく長引かすことができるのだった。し....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
んでる者にとってはごく楽しい状態、何事も考えず、ただあるがままにうっとりとして、
半睡の心だけが口をきいてくれる状態、それに彼女は浸っていた。
「お母さん、」と彼....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
しょに混和し合っていた。生の楽しみに身を投げ出して微笑《ほほえ》んでるグラチアの
半睡状態は、クリストフの精神力に触れて覚めていった。彼女は精神上の事柄に対して、....
「博物誌」より 著者:岸田国士
いると、私は心配になり、恥ずかしくなり、そして可哀そうになる。 彼はやがてその
半睡状態から覚めるのではあるまいか? そして、容赦なく私の地位を奪い取り、私を彼....
「新しき世界の為めの新しき芸術」より 著者:大杉栄
の描写は民衆をして自分自身の貧困の倦厭を忘れさせるものであると。なるほど、民衆が
半睡眠状態にある間は或はそうであるかも知れない。しかし、其の人格の感情が目覚め其....
「審判」より 著者:カフカフランツ
び合せてみるのだった。裁判所と関係のある人々に厳密に限られるわけではなく、ここで
半睡の状態でいると、あらゆる人々がこんがらかり、裁判所の大きな仕事を忘れてしまい....
「それから」より 著者:夏目漱石
、風に吹かれた。けれども、音も響もない車輪が美くしく動いて、意識に乏しい自分を、
半睡の状態で宙に運んで行く有様が愉快であった。青山の家《うち》へ着く時分には、起....