半面[語句情報] » 半面

「半面〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

半面の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
彼の目には、天も見えなければ、地も見えない。ただ、彼をいだいている兄の顔が、――半面に月の光をあびて、じっと行く手を見つめている兄の顔が、やさしく、おごそかに映....
お時儀」より 著者:芥川竜之介
この憂鬱の中にお嬢さんのことばかり考えつづけた。汽車は勿論そう云う間《あいだ》も半面に朝日の光りを浴びた山々の峡《かい》を走っている。「Tratata trat....
路上」より 著者:芥川竜之介
三十 初子《はつこ》と辰子《たつこ》とを載せた上野行《うえのゆき》の電車は、半面に春の夕日を帯びて、静に停留場《ていりゅうば》から動き出した。俊助《しゅんす....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
風《おおかぜ》の中の旗竿のごとく揺れ動いたように思われた。するとたちまち彼の顔も半面を埋《うず》めた鬚《ひげ》を除いて、見る見る色を失い出した。そうしてその青ざ....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
》が走った。それも百姓に珍らしい長い顔の男で、禿《は》げ上《あが》った額から左の半面にかけて火傷《やけど》の跡がてらてらと光り、下瞼《したまぶた》が赤くべっかん....
時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
主義」と題する魚住氏の論文は、今日における我々日本の青年の思索《しさく》的生活の半面――閑却《かんきゃく》されている半面を比較的|明瞭《めいりょう》に指摘した点....
婦系図」より 著者:泉鏡花
かしい。 寝床の上に端然と坐って、膝へ掻巻の襟をかけて、その日の新聞を読む――半面が柔かに蒲団に敷いている。 これを見ると、どうしたか、お妙は飛石に突据えら....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
ス(Aristarchos 紀元前約二七〇年生)は食の観測と、太陰がちょうどその半面を照らされているときのその位置とから太陽と太陰との大きさを定めた。しかして太....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
にふけり、宗教の発達を来たした。いわゆる三大宗教はみな亜熱帯に生まれたのである。半面、南種は安易な生活に慣れて社会制度は全く固定し、インドの如きは今なお四千年前....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
の塾の、小部屋小部屋に割居して、世間ものの活字にはまだ一度も文選されない、雑誌の半面、新聞の五行でも、そいつを狙って、鷹の目、梟の爪で、待機中の友達のね、墨色の....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
ぼれて手水鉢、砂地に足を蹈み乱して、夫人は橋に廊下へ倒れる。 胸の上なる雨戸へ半面、ぬッと横ざまに突出したは、青ンぶくれの別の顔で、途端に銀色の眼をむいた。 ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
影に、その髪は白く、顔は赤い。黄昏の色は一面に裏山を籠めて庭に懸れり。 若山は半面に団扇を翳して、 「当地で黒百合のあるのはどこだとか言ったっけな。」 ....
歯車」より 著者:芥川竜之介
えるのを感じた。 この往来は僅かに二三町だった。が、その二三町を通るうちに丁度半面だけ黒い犬は四度も僕の側を通って行った。僕は横町を曲りながら、ブラック・アン....
活人形」より 著者:泉鏡花
れば、ここはこれ赤城家第一の高楼にて、屈曲縦横の往来を由井が浜まで見通しの、鎌倉半面は眼下にあり。 山の端に月の出汐見るともなく、比企が谷の森の方を眺むれば、....
大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
を起し、両腕|拱きて首を垂れしまま、前に輪を為せる綸を埋めんともせず、小ランプに半面を照されて、唯深く思いに沈むのみなり。 茶屋の主人なる人常に言えり。世人、....