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「南画〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

南画の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
》なのです。」 「あれですか。あれは僕の友人ですよ。本職は医者で、傍《かたわら》南画を描《か》く男ですが。」 「西郷隆盛ではないのですね。」 本間さんは真面目....
点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
はまだ今日《こんにち》でも襟巻と云うものを用いたことはない。が、特にこの夜だけは南画の山水か何かを描いた、薄い絹の手巾《ハンケチ》をまきつけていたことを覚えてい....
交尾」より 著者:梶井基次郎
の前へ立って、あの奇怪な顔つきでじっと水の流れるのを見ていたのであるが、その姿が南画の河童とも漁師ともつかぬ点景人物そっくりになって来た、と思う間に彼の前の小さ....
追憶」より 著者:芥川竜之介
叔母は狩野勝玉という芳崖の乙弟子に縁づいていた。僕の叔父もまた裁判官だった雨谷に南画を学んでいた。しかし僕のなりたかったのはナポレオンの肖像だのライオンだのを描....
油絵新技法」より 著者:小出楢重
あっては家の屋根を打ち抜いて座敷を見せ、その中の事件を現すやり方である。あるいは南画の如く山の上へ山を描き、そのまた上に海を描き、その上になお遠き島を描く事であ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
お大名か、お殿様が御微行で、こんな破屋へ、と吃驚しましたのに、「何にも入らない。南画の巌のようなカステーラや、べんべらものの羊羹なんか切んなさるなよ。」とお笑い....
灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
。私は気分をその迷いの中から他の方向へ転じさせた。絵を画くことであった。父と共に南画を習いはじめ、仏画や風景をやたらにかきなぐりながら、そこに一つの宗教的な平静....
小杉未醒氏」より 著者:芥川竜之介
うに、本来の氏の面目から、まっすぐに育って来たものである。 小杉氏の画は洋画も南画も、同じように物柔かである。が、決して軽快ではない。何時も妙に寂しそうな、薄....
近藤浩一路氏」より 著者:芥川竜之介
頁の漫画が忽ちに、一幅の山水となるのは当然である。 近藤君の画は枯淡ではない。南画じみた山水の中にも、何処か肉の臭いのする、しつこい所が潜んでいる。其処に芸術....
光は影を」より 著者:岸田国士
明るく彼の眼にうつつた。彼は、今さらのように部屋のなかを見廻した。床には、稚拙な南画風の軸がかゝり、紅梅の枝が月並に生けてある。ナゲシに眼をあげると、そこには三....
あのころ」より 著者:上村松園
玉緒という方が、極彩色の桜の絵のお手本を数枚下さって、うまくかけよ、と言ったり、南画を数枚下さって、これを見てかくとええ、などとはげまして下さった。 また甲斐....
三人の師」より 著者:上村松園
よくお会いし、いろいろと教わったものである。そのころ田能村直入だとか明治年間には南画――文人画が隆盛だったので、百年先生もその影響をうけて南画風のところが多少あ....
余齢初旅」より 著者:上村松園
言ってキビ藁のようなものをもって来たので、それを鯉にやった。その坊さんはちょうど南画の山水の中にいるような坊さんで、鯉にやった餌と同じものをたべているのだという....
層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
また崛起して楼閣を起し、二長瀑を挂く。右なるは三百尺、左なるは五百尺もやあらん。南画も描いて、ここまでには到らずと、またも一杯を山霊に捧ぐ。その楼閣の石柱続きて....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
滅びてしまっているであろう。水田や榛の木のあった亀戸はこういう梅の名所だった為に南画らしい趣を具えていた。今は船橋屋の前も広い新開の往来の向うに二階建の商店が何....