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単調
「単調〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
単調の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
を破るものはない。未《いまだ》に降り止まない雨の音さえ、ここでは一層その沈黙に、
単調な気もちを添えるだけである。
「あなた。」
そう云う何分《なんぷん》かが過....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
か判然しない。その中でただ、窓をたたく、凍りかかった雨の音が、騒々しい車輪の音に
単調な響を交している。
本間さんは、一週間ばかり前から春期休暇を利用して、維新....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
る訣《わけ》には行《ゆ》かない。運命はある真昼の午後、この平々凡々たる家庭生活の
単調を一撃のもとにうち砕《くだ》いた。三菱《みつびし》会社員忍野半三郎は脳溢血《....
「或る女」より 著者:有島武郎
思わしいころに、窓に近い舷《げん》にざあっとあたって砕けて行く波濤《はとう》が、
単調な底力のある震動を船室に与えて、船はかすかに横にかしいだ。葉子は身動きもせず....
「或る女」より 著者:有島武郎
なく抱かれた。倉地も葉子を自分の胸に引き締めた。葉子は広い厚い胸に抱かれながら、
単調な宿屋の生活の一日中に起こった些細《ささい》な事までを、その表情のゆたかな、....
「星座」より 著者:有島武郎
園は、思いもよらぬ不安に襲われて詩集から眼を放して機械を見つめた。今まで安らかに
単調に秒を刻んでいた歯車は、きゅうに気息《いき》苦しそうにきしみ始めていた。と思....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
で見えなくなってしまった。 そして君に取り残された事務所は、君の来る前のような
単調なさびしさと降りつむ雪とに閉じこめられてしまった。 私がそこを発って東京に....
「親子」より 著者:有島武郎
のようだった。ただ耳を澄ますと、はるか遠くで馬鈴薯をこなしているらしい水車の音が
単調に聞こえてくるばかりだった。 父は黙って考えごとでもしているのか、敷島を続....
「演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
芸術的に見れば数限りもない無意味な偶然と、無聊と倦怠と、停滞と混沌と、平凡にして
単調なる、あるいは喧騒にしていとうべきことの無限の繰り返しによってその大部分を占....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
げた吃水を嘗めて、ちゃぶりちゃぶりとやるのが、何かエジプト人でも奏で相な、階律の
単調な音楽を聞く様だと思って居ると、 睡いのか。 とヤコフ・イリイッチが呼びか....
「出奔」より 著者:伊藤野枝
い。俺は近頃汝のために思いがけない刺戟を受けて毎日元気よく暮らしている。ずいぶん
単調平几な生活だからなあ。 上京したらあらいざらい真実のことを告白しろ、その上....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
その内全く夜になった。犬は悲しげに長く吠えた。その声はさも希望のなさそうな、
単調な声であった。その声を聞くものは、譬えば闇の夜が吐く溜息を聞くかと思った。そ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
こちらの世界で見聞したくさぐさの物語を致しましたが、いつも一|室に閉じこもって、
単調なその日その日を送って居る母にとりては、一々びっくりすることのみ多いらしいの....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
る諸子は、不可解、不合理なる教義の盲目的信仰と、ただ一片の懺悔の言葉とによりて、
単調無味なる天国とやらの権利を買い占めるのであろうか? 否々、諸子はただしばし肉....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
瞥、――そうしたことが、窓から一と思いに飛び降りて、自分には脱れることの出来ない
単調なこれらの出来事と手を切ってしまいたいと私に思わせた。 私は毎日顔を剃りな....