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印す
「印す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
印すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
《かび》が生え、樹皮で作った青臭い棺の中に入れられることもあろう。が、その墓標に
印す想い出一つさえ、今では失われてしまったではないか。 それからほどなく、早出....
「恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
げ込んでくれ」 正勝はそして、蔦代の死骸をその後ろから抱き、蔦代の足が床の上に
印す血の足跡を踏まないように注意深く大股《おおまた》に脚を開いて、不恰好な足構え....
「雪の白峰」より 著者:小島烏水
華も、翅粉谷の水脈《みお》より長く曳く白蝶も、天馬空を行かず、止まって山の肌に刻
印する白馬も、悉《ことごと》く収めて、白峰の二字に在る、「北に遠ざかりて(何等の....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
告げたのと、案ずるに同日であるから、その編上靴は、一日に市中のどのくらいに足跡を
印するか料られぬ。御苦労千万と謂わねばならぬ。 先哲曰く、時は黄金である。そん....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
信頼を受けてあの重大任務をおうちあけ願っていなかったら、わが国史上に、一大汚点を
印するところでありました」 「それは、よかった――」 司令官は、沈痛な面持をし....
「忘れえぬ人々」より 著者:国木田独歩
|村離れて林や畑の間をしばらく行くと日はとっぷり暮れて二人の影がはっきりと地上に
印するようになった。振り向いて西の空を仰ぐと阿蘇の分派の一峰の右に新月がこの窪地....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
つと嘘きて、君|逝きましぬ東京に。
東下り、京上り、往来に果つるおん旅や、御跡
印す駅路の繰りひろげたる絵巻物、今巻きかへす時は来ぬ。時こそ来つれ、生涯の御戦闘....
「蓄音機」より 著者:寺田寅彦
音のために生じた膜の振動を、円筒の上にらせん形に刻んだみぞに張り渡した錫箔の上に
印するもので、今から見ればきわめて不完全なものであった。ある母音や子音は明瞭に出....
「若草物語」より 著者:オルコットルイーザ・メイ
を信ず。アーメン、この遺言状は、千八百六十一年十一月二十日、わが手によって認め封
印す。 エミイ・カーティス・マーチ 証人 エステル・ベルノア セオドル・ローレ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
いそう》したり、あるいは渾沌《こんとん》たる事相の下に、人間の精神の歴史中に跡を
印すべき、人の気づかぬ小さな光を見分けたりした。 クリストフのほうがいっそう多....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
采《ふうさい》を尊厳なりと称すると同一である。天空の星座と軟《やわら》かき泥地に
印するあひるの足跡の星形とを、彼らは混同するのである。
十三 彼の信仰
ロ....
「西瓜」より 著者:永井荷風
ムとそれ以後の個人主義的芸術至上主義とである。わたくしの一生涯には独特固有の跡を
印するに足るべきものは、何一つありはしなかった。 日本の歴史は少年のころよりわ....
「申訳」より 著者:永井荷風
ば其の際僕の身は猶海外に在ったから拙著の著作権を博文館に与えたという証書に記名捺
印すべき筈もなく、又同書出版の際内務省に呈出すべき出版届書に署名した事もないわけ....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
一過、南風冷を送り、秋気船窓に入るの心地あり。また、晩に船欄に倚れば新月の西天に
印するを見る、また大いに幽趣あり。 濠陽風物動。 (豪州の南の風物は吟詠の情をゆ....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
もの皆なつかし」の情に堪えなかった。劒岳の絶巓! 私は此絶巓に三度幸福なる足跡を
印するの日が遠からざらんことを心に盟った、それに何の不思議があろう。 早昼飯を....