印判[語句情報] »
印判
「印判〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
印判の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
それで二人は半日ほど捜しあるいて、漸《やっ》と見つけた愛宕《あたご》の方の或る
印判屋の奥の三畳|一室《ひとま》を借りることに取決め、持合せていた少《すこし》ば....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
が、青い冬空の下にひらひらと揺れていた。それも日の暮れる頃には次第に数が減って、
印判屋《はんこや》の物干にかかっている小児《こども》のあかい着物二枚だけが、正月....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
屋の小僧も大いばりで、十二、三のいたずら盛りのが、はだかのうえへ、三河屋と書いた
印判纏《しるしばんてん》を一枚ひっかけ、 「エエイ、ちくしょう、泣かしゃアがる!....
「海流」より 著者:宮本百合子
ある町角のところで電車を降りた。そして、二三丁先の、いつ見ても客のいたことのない
印判屋の横丁を入って、古びた小さい二階家の格子をあけた。 大工の後家である下の....
「近世快人伝」より 著者:夢野久作
死んだなら一つ頼むけに俺の葬式をしてくれい。ナア」 涙もろい二人は喜んで証書に
印判を捺したものであった。もとより無学文盲の二人の事とて、法律の事なんか全く知ら....
「黄金虫」より 著者:佐々木直次郎
もそう思わせたからなんだよ。その斜め反対の隅にある髑髏も、同じように、印章とか、
印判とかいうふうに見えた。しかし、そのほかのものがなに一つないのには、――書類だ....
「くろがね天狗」より 著者:海野十三
けて、いまだ太刀を引いて逃げおおせた者がなかった。というのは、切りかけたが最後、
印判で捺したように天狗のために切り捨てられるのであった。 「手前手練の早業にてサ....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
ん》のような判をベタベタと押した。実印も黒色《くろ》だった。それが朱肉の、奇麗な
印判《いんばん》になると、自然古い商業の、法則と反したものが流れてきて、古い取引....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
かく生活ということについてもいろいろ感想が湧きます。ねえ。 そう云えばね、角の
印判屋ね、あすこなくなりました。この間通ってオヤと思い、きょう大きい眼玉で見たら....
「村井長庵記名の傘」より 著者:国枝史郎
が江戸へ出て来て、俺の家で草鞋を脱ぎ、五日と云うもの食い仆し、それ駕籠賃だ、やれ
印判料だ、ちょくちょく使った小使銭、そんな物を返せとは云わねえ。何の俺が云うもの....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
と、障子を開けた。小太郎が躍り出るように立上って、受取った。八郎太が、赤紙へ
印判を押して、女中に戻した。八郎太は、手紙の裏を返して見て
「袋持から――」
....
「歴史の流れの中の図書館」より 著者:中井正一
心がけているところの「庫」でしかないのである。一つの本をかりるのに数日間の書類と
印判を要するのがある事はまことに残念である。本人達は大真面目にそうなのであるし、....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
代書の印を捺してくれる。 「これでよろしいでしょうか? 」 「大丈夫ですよ、私の
印判がありさえすれば」 「ハア、そんなものだすかア」 と感心しながら,また第十....
「雷門以北」より 著者:久保田万太郎
並んだ間に、ところ/″\うろぬきに、小さな、さびしい商人店――例えば化粧品屋だの
印判屋だののはさまった……といった感じの空な往来だった。食物店といってはその浪花....