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危む
「危む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
危むの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
ものであった。この翳が心路の妨げをなすことはただ人同志の間にもあることであろう。
危む相手にまごころをば俄《にわか》にはうち出しにくい。 翁は謙遜《けんそん》な....
「血の文字」より 著者:黒岩涙香
分の事情を知らぬから未だ合点が行かぬと云う丈の事」判事は目科の横鎗にて再び幾分の
危む念を浮べし如く「今夜|早速牢屋へ行き篤と藻西太郎に問糺して見よう」と云う。 ....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
どには、文三も数々《しばしば》話しかけてみようかとは思ったが、万一《ばんいち》に
危む心から、暫く差控ていた――差控ているは寧《む》しろ愚に近いとは思いながら、尚....
「春昼」より 著者:泉鏡花
控家がある、その背戸へ石を積んで来たもので。 段を上ると、階子が揺はしまいかと
危むばかり、角が欠け、石が抜け、土が崩れ、足許も定まらず、よろけながら攀じ上った....
「鏡心灯語 抄」より 著者:与謝野晶子
は総選挙の結果がまたまた選挙人の不本意と国民の失望とに終りはしないかということを
危むのである。 * 私は政治が最早官僚の政治でも党人の政治でもな....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
、謙三郎はその清秀なる面に鸚鵡を見向きて、太く物案ずる状なりしが、憂うるごとく、
危むごとく、はた人に憚ることあるもののごとく、「琵琶。」と一声、鸚鵡を呼べり。琵....
「雪霊続記」より 著者:泉鏡花
かない、この吹雪に、何と言って外へ出ようと、放火か強盗、人殺に疑われはしまいかと
危むまでに、さんざん思い惑ったあとです。 ころ柿のような髪を結った霜げた女中が....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
て、(やあ、黒よ、観音様念じるだ。しっかりよ。)と云うのを聞いて、雲を漕ぐ櫂かと
危む竹杖を宙に取って、真俯伏になって、思わずお題目をとなえたと書いています。 ....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
極彩色の夫人と衆人環視の中でさえも綢繆纏綿するのを苦笑して窃かに沼南の名誉のため
危むものもあった。果然、沼南が外遊の途に上ってマダ半年と経たない中に余り面白くな....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
が起きたら直に後から来るように然う云って呉れ。」 「虎ヶ窟へ……。」 七兵衛が
危む顔を後にして、市郎は早々に飛び出して了った。 市郎が駅を抜けて村境に着いた....