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危地
「危地〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
危地の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
頭に咄嗟《とっさ》に浮んだのはこれだった。しかし彼は驚きはしなかった。彼にはこの
危地から自分を救いだす方策はすぐにでき上っていた。彼は得意先を丸めこもうとする呉....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
、それがため追跡がいよいよ急になった。僧服を捨て、僕が残していった学生服に着かえ
危地を脱走した。そして飛行機に乗って、今朝がた黄風島を抜けだし、先刻当港へついた....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
ようだった。こういう人は将来損だと僕は思う。なぜならこの人は情が強いために他人が
危地へ陥るのを助けようとして自分の力の全部をなげ出し、やがて自分が
危地に落ちて行....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
。どこへなと参ろうぞ。つれて行けい」 愈々奇怪と言うのほかはない。おびき出して
危地にでも陥し入れようと言うつもりからか、それとも他に何ぞ容易ならぬ計画でもある....
「暗号音盤事件」より 著者:海野十三
いった。そして私の腕をひったてると、隠し扉を開いて、さあ先に入れと、合図をした。
危地突破については、日頃からの白木の腕前を絶対に信頼していいであろう。今度もわれわれの勝利である。....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
線の如き民族精神を否定し、国策断行を妨害し、国防を破壊し結局において祖国を亡国的
危地に陥れんとするが如き、運動の発生し、成長することは、国民の最も戒心を要する重....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
は事件を知っていて詳細を聞きたがっていた。クリストフは彼の訪問に感動して、自分を
危地に陥れた人々からの同情と謝罪とをもたらしたものだと率直に解した。自尊心から何....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
たこと。襲撃縦隊の隊伍のととのわなかったこと。その側面に突然現われた横射砲兵隊。
危地に陥ったブールジョアとドンズローとデュリュット。撃退されたキオー。工芸大学校....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
自ら革命派であること、換言すれば、親しくその革命に関与し、自ら手を下し、あるいは
危地に陥るか、あるいは名を現わし、あるいは斧《おの》にきらるるか、あるいは剣をふ....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
としたからです。 夢の充実――それが八住を殺し、母である貴女を、拭いのつかない
危地に陥し込もうとしたのでした。 しかし、あのアマリリスの奇蹟は、父親のひたむ....
「梟啼く」より 著者:杉田久女
ところに蜂起しつつあった物騒な時代で、沢山な荷物とかよわい女子供許りを連れて愈々
危地へ入って行く父の苦心は如何許りで有ったろうか。私たちは土人の駕籠に乗せられて....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
某自ら命を断つに於ては――この兵道の秘法は、今日限り絶えまする。又兵道は、只今、
危地に陥っております。人間業に非ざる修行を重ねること二十年。それで、秘法を会得し....
「長崎の鐘」より 著者:永井隆
は大局に目をつけねば、折角繃帯を巻いた怪我人もろとも火炎の中に巻き込まれんとする
危地にあることを知った。 すでに被爆後二十分、浦上一帯は火の森林と化した。病院....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
ない。ただの憎みは獣の憎みです。相手に牙を剥かせるばかりです。却ってますます身を
危地におとしいれるだけです。 この憎みにもまた変態があります。たとえば、手にお....
「ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
、思う。四十年の一生の間、死にそこねた場合が二十回はあった。そのたびに、するりと
危地を脱して今日まで生きてきている。しかし、今度こそはどうやら危なそうだ。 結....