即物的[語句情報] »
即物的
「即物的〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
即物的の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「光と風と夢」より 著者:中島敦
、頭に浮べていた模範《モデル》は、十八世紀風の紀行文、筆者の主観や情緒を抑えて、
即物的な観察に終始した・ああいう行き方なのだ。「宝島」の作者は何時迄も海賊と埋も....
「道標」より 著者:宮本百合子
子の眼と心とをひきつけた。
伸子のかくたよりに現れる生活の描写は、こうして段々
即物的になり、テンポが加わり、モスク※の社会生活の圧縮された象徴のようになりつつ....
「昭和の十四年間」より 著者:宮本百合子
火野としての自然の感情とがそれぞれに盛られている。従って、戦場の光景はそのものの
即物的な現実性で読者の感銘に迫って来るし、一方作者によって絶えず意識され表明され....
「あられ笹」より 著者:宮本百合子
の絵の細部もそれで見たのだけれども宗達の描線の特色を、専門ではどう表現するのか。
即物的な柔軟さ、こわばったところのない暖く雄勁な筆致で、対象にひたひたとよって行....
「新しい船出」より 著者:宮本百合子
さり見つけて来る手柄に止っていたであろう。将来の女らしさは、そういう狭い個人的な
即物的解決の機敏さだけでは、決して追っつかない。子供たちに炭のないわけを公平に納....
「今日の生活と文化の問題」より 著者:宮本百合子
ストラヴィンスキーその他の音楽家たちが不協和音を摂取するようになったし、文学でも
即物的な要素を加えられた。 そのような工場生活者の精神と肉体との組立てに対して....
「現代哲学講話」より 著者:戸坂潤
るかないかによってではなくて、彼が忠良なる臣民であるか不逞の徒であるかによって、
即物的に処理される。文部大臣と雖も一種の即物主義者であり得ることを忘れてはならな....
「華々しき瞬間」より 著者:久坂葉子
ね」 「ええ、但し、近代もの以外は人の前でひけないのよ」 「きかせてほしい」 「
即物的じゃないわよ」 「何でもいいききたい」 「何でもいいとはひどいわ。私、自分....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
なっておしまいですが、話をくつろいで私となさるときびっくりするように表現的です。
即物的です。例えば、お父さんが、挽回しようとして益※益※積極におやりになる、「そ....
「ヤミ論語」より 著者:坂口安吾
的方法については考究するところがあるけれども、実人生においては個々の関係や段階に
即物的に処理せざるを得ないもので、哲学の説くところはその原則的方法だけだ。個々に....
「恋愛論」より 著者:坂口安吾
現実は常に人を裏ぎるものである。しかし、現実の幸福を幸福とし、不幸を不幸とする、
即物的な態度はともかく厳粛なものだ。詩的態度は不遜であり、空虚である。物自体が詩....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
紋切型であるのに比べて、大阪のは、その物、その場に即して、写実的であり、臨機応変
即物的に豊富多彩な言い廻しが自ら湧いてつきないという趣きがある。おまけにその口の....
「だいこん」より 著者:久生十蘭
。おなじ逆立ちでも、フランス風の逆立ちはこんなにもエレガントなものだということを
即物的《ザハリッヒカイト》に証明し、〈巴里にいる日本の女のかた〉の骨のあるところ....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
なたを並等《なみ》な状態にかえすためには少しつらいかもしれないけど、こんなふうな
即物的な療法が必要だと思うのよ。まず、 午前 七・三〇 起床。 同 八・....
「郷愁の詩人 与謝蕪村」より 著者:萩原朔太郎
、子規《しき》一派の解した如き浅薄な写生主義者ではないけれども、対象に対して常に
即物的客観描写の手法を取り、主観の想念やリリックやを、直接句の表面に出して咏嘆す....