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却って
「却って〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
却っての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
僕の旧友の言葉に依れば、少なくともその界隈に住んでいる人々は子供の数の多い家ほど
却って暮しも楽だということである。それは又どの家の子供も兎に角十か十一になるとそ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
、大なる関係がなさそうである。否、家庭的なものの方が寧ろ不純物の夾雑する憂なく、
却って委曲を尽し得べしとさえ考えらるるのである。 それは兎に角として、また内容....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
に服した後で、幽明交通を試むるのも、決して理想的でないと思うが、しかし日曜日は、
却って一層心霊実験に適当せぬらしい…………。』 日曜日の不利――げに日曜日は、....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
もなく同じ方法で顔を洗う。若し不注意の為めにその方法を誤るようなことでもあれば、
却ってそれを不愉快の種にする位だ。この生活に於ては全く過去の支配の下にある。私の....
「北海道に就いての印象」より 著者:有島武郎
化に乏しくてつまらないと人は一概にいうけれども、それは決してそうではない。変化は
却ってその方に多い。雪に埋もれる六ヶ月は成程短いということは出来ない。もう雪も解....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
いましょうかねえ。」 「なぜ。こんな事を済ましたあとでは、あんな所へでも行くのが
却って好いのだ。」 「ええ。そうですねえ。お気晴らしになるかも知れませんわねえ。....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
ものがこんなに愉快な、むしろ尊敬すべき風采を具えているならば、われわれに取っては
却って悪い事だとも言える。さて、話そうではないか。」 アウガスタスは座に着くと....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
秋のものに属し、椎茸は仲秋(椎茸は総じて秋季に生ずるものにめざましいものは少く、
却って春季に生ずるものを尊ぶ)に生じ、松茸、猪の鼻、舞茸、玉茸の類は仲秋から晩秋....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
を忘れた、餌入を忘れた、焚付を忘れたなんて、忘れ物をされると、折角楽みに来ても、
却って腹立てる様になるからね。此の前、鱚の時に、僕の品匡を忘れられて、腹が立って....
「一利己主義者と友人との対話」より 著者:石川啄木
多望なことになるなあ。 A 人は歌の形は小さくて不便だというが、おれは小さいから
却って便利だと思っている。そうじゃないか。人は誰でも、その時が過ぎてしまえば間も....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
仏教は仏の説でないとて大乗経を軽視する人もありますが、大乗経典が仏説でないことが
却って仏教の霊妙不可思議を示すものと考えられます。 その次の五百年は禅定の時代....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
露戦争時代に日本が対露戦争につき真に深刻にその本質を突き止めていたなら、あるいは
却ってあのように蹶起する勇気を出し得なかったかも知れぬ。それ故にモルトケ戦略の鵜....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
い話が芝居の軒も潜れまい。が、うっかり小説の筋を洩らして、面と向ったから、女房が
却って瞼を染めた。 棚から一冊抜取ると、坐り直して、売りものに花だろう、前垂に....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
ておりますし、それにこの頃じゃあ、度々上ると、お夏様が気を揉んでお構い遊ばして、
却ってお邪魔だからと、こんなに申しまして、へい。」 「そうかい、お前がちょいちょ....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
竹永さん、金之助|病のためにこの境に処して、なお巴里、伊太利の歌に魂を奪われず。
却って佃島の(鰯こ)に心を澄まし、初冬の朝の鰹にも我が朝の意気の壮なるを知って、....