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厚い
「厚い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
厚いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
るがしこそうに、じろじろ、左右をみまわしたが、人通りのないのに安心したのかまた、
厚いくちびるをちょいとなめて、
「家内の様子は、たいてい娘が探って来たそうだよ。....
「母」より 著者:芥川竜之介
る。それがやや俯向《うつむ》きになった、血色の好《い》い頬に反射している。心もち
厚い唇の上の、かすかな生《う》ぶ毛《げ》にも反射している。
午前十時と十一時と....
「冬」より 著者:芥川竜之介
しい看守《かんしゅ》に名刺を渡した。それから余り門と離れていない、庇《ひさし》に
厚い苔《こけ》の乾いた面会人控室へつれて行って貰った。そこにはもう僕のほかにも薄....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
くなった。」
「大臣様は大そうな御心配で、誰でも御姫様を探し出して来たものには、
厚い御褒美《ごほうび》を下さると云う仰せだから、それで我々二人も、御行方を尋ねて....
「河童」より 著者:芥川竜之介
こへ行ったのか、見えなくなったことを思い出しました。しかも河童は皮膚の下によほど
厚い脂肪を持っているとみえ、この地下の国の温度は比較的低いのにもかかわらず、(平....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
違いない。第一なたらの夜《よ》に捕《とら》われたと云うのは、天寵《てんちょう》の
厚い証拠ではないか? 彼等は皆云い合せたように、こう確信していたのである。役人は....
「女」より 著者:芥川竜之介
と、その華奢《きゃしゃ》な嚢の底に、無数の卵を産み落した。それからまた嚢の口へ、
厚い糸の敷物を編んで、自分はその上に座を占めながら、さらにもう一天井《ひとてんじ....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
いりました。薄白い路の左右には、梢《こずえ》から垂れた榕樹《あこう》の枝に、肉の
厚い葉が光っている、――その木の間に点々と、笹葺《ささぶ》きの屋根を並べたのが、....
「手紙」より 著者:芥川竜之介
)昼寝をしたりするだけです。五六日前の午後のことです。僕はやはり木枕をしたまま、
厚い渋紙の表紙をかけた「大久保武蔵鐙《おおくぼむさしあぶみ》」を読んでいました。....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
忍野君ですね。ちょっと待って下さいよ。」
二十《はたち》前後の支那人は新らたに
厚い帳簿をひろげ、何か口の中に読みはじめた。が、その帳簿をとざしたと思うと、前よ....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
いなさい。」と、嵩《かさ》にかかって云い放しました。すると婆はまた薄眼になって、
厚い唇をもぐもぐ動かしながら、「なれどもの、男に身を果された女はどうじゃ。まいて....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
白衣の上に、私の生前一|番好きな色模様の衣裳を重ねました。それは綿の入った、裾の
厚いものでございますので、道中は腰の所で紐で結えるのでございます。それからもう一....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
みならず黄いろい表紙をしていた。僕は「伝説」を書棚へ戻し、今度は殆ど手当り次第に
厚い本を一冊引きずり出した。しかしこの本も挿し画の一枚に僕等人間と変りのない、目....
「初雪」より 著者:秋田滋
恋しがらないで、くれぐれも養生をしてくれ。二三日前から当地はめッきり寒くなって、
厚い氷が張るようになった。雪の降るのももう間近いことだろう。お前とちがってこの季....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
者としてはファラデーとは全く段が違うのである。この本も今日は絶版かと思う。あまり
厚い本ではなく、活字も大きい。青い表紙の本で、巻頭にファラデーの肖像がある。 第....