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「厚情〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

厚情の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
路上」より 著者:芥川竜之介
大井の後《あと》から外へ出た俊助には、こう云うお藤の言葉の中に、彼の大井に対する厚情を感謝しているような響が感じられた。彼はお藤の方を振り返って、その感謝に答う....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
。陳れば、愚娘儀につき、先ごろ峠村の平兵衛参上いたさせ候ところ、重々ありがたき御厚情のほど、同人よりうけたまわり、まことにもって申すべき謝辞も御座なき次第、小生....
新ハムレット」より 著者:太宰治
んな僕の為を思って、言いにくい悪口でも無理に言ってくれるのだ、ありがたい、この御厚情には、いつの日かお報いせずんばあるべからずと、心の中の手帳にその人の名を恩人....
帰去来」より 著者:太宰治
ひそかに頼まれて、何かと間を取りついでくれていたのである。私も、女も、中畑さんの厚情に甘えて、矢鱈に我儘を言い、実にさまざまの事をたのんだのである。その頃の事情....
風流仏」より 著者:幸田露伴
再渡す包物、開て見れば、一筆啓上|仕候未だ御意を得ず候え共お辰様身の上につき御|厚情相掛られし事承り及びあり難く奉存候さて今日貴殿|御計にてお辰婚姻取結ばせられ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、金子、珊瑚の釵の、ご心配はもうなくなりましたと申したのは、実は中洲、月村様のお厚情。京子様、その事堅くお口どめゆえ、秘してはおりましたが、このたび帰国の上は、....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
って、営まれたという葬式の様子や、形ばかりの石塔を見聞きするにつれ、故郷の人々の厚情を、感謝せざるを得なかった。 「これから甚内さんどうなさる?」 こう宿の人....
フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
クトル。――一行でも――一語でも、私たちにはありがたいのです。アンリの御親切、御厚情、再三のお手紙には、お礼のことばもこざいません。衷心から感謝いたします。さよ....
四国遍路日記」より 著者:種田山頭火
昨日の飲みすぎ食べすぎがたたっている、朝酒数杯でごまかす。 午前、高橋さん来訪、厚情に甘えて、新居へ移った、御幸山麓、御幸寺の隠宅のような家屋、私には過ぎている....
『鉢の子』から『其中庵』まで」より 著者:種田山頭火
さった酒壺洞兄に心からの謝意を表することを忘れてはならない。 緑平老、白船老の厚情については説くまでもあるまいが、元寛兄、俊兄、星城子兄、入雲洞兄、樹明兄、敬....
雪柳」より 著者:泉鏡花
で、自分の見立てで、その鮪を刺身に、と誂え、塩鮭の切身を竹の皮でぶら下げてくれた厚情を仇にしては済まないが、ひどい目に逢ったのを覚えているだろう。これが間淵。そ....
新訂雲母阪」より 著者:直木三十五
彦根へきた。そしてお俊と、左門の弟とが桑名へ立った。 甚七が江戸へつくと共に、厚情を感謝してきた手紙で、彼の居所《きょしょ》はすぐ知れた。そして三人は江戸へ下....
明治の文学の開拓者」より 著者:内田魯庵
れぬがシカシ心中では常にお世話になった事を感謝しておる。故二葉亭に関する坪内君の厚情は実に言舌を以て尽しがたいほどで、私如きは二葉亭とは最も親密に交際して精神上....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
、ただちにエセックスを選挙したことも、彼の別方面の人気を立証するものだった。この厚情を彼は歓び、感謝のしるしとして、珍しい型の銀製カップを大学に贈った。奇妙なこ....
空晴れて」より 著者:小川未明
少ないものだ。」と、いって、主人は賢一をはげましてくれました。賢一は、ただ、その厚情に感謝しました。彼は負傷したことを故郷の親にも、老先生にも知らさなかったので....