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厭人
「厭人〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
厭人の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
も生がこの世に取り出されるということはおろそかには済まされぬことだ。復一のように
厭人症にかかっているものには、生むものが人間に遠ざかった生物であるほど緊密な衝動....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
習というものは恐ろしいもので、かえって御当人達には、人に接するのを嫌う――いわば
厭人とでも云うような傾向が強くなってまいりました。年に一度の演奏会でさえも、招か....
「青服の男」より 著者:甲賀三郎
初耳だ。そんな金持の癖にアパートに独り住居してるんですか」 「変ってますからね。
厭人病っていうんだそうで。交際が嫌いでね。こゝにいても殆んど訪ねて来る人はありま....
「地は饒なり」より 著者:宮本百合子
自分に反抗する心持とが、他のいろいろな不調和と一緒になって、彼女を次第に不自然な
厭人的傾向に導いて行った。 そして、人と話し、人と笑いしている間に、いつともな....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
は、あまり現われていないようであります。やはり前に述べました極めて明晰な頭脳と、
厭人的にハニカミ勝な性格に押え付けられているらしく思われるのであります。……とは....
「詩の原理」より 著者:萩原朔太郎
生活の本質を憎悪し、一切の宇宙を否定しようとするところの、ショーペンハウエル的|
厭人《えんじん》感のニヒリズムから、毒々しい挑戦《ちょうせん》的の態度に於て、浪....
「青鬼の褌を洗う女」より 著者:坂口安吾
思想が生れる。私自身若かったころは殆どもう若々しいところがなくて孤独癖、ときには
厭人癖、まことにひねこびた生き方をしており、私に限らずなべて若者の世界も心中概ね....
「精神病覚え書」より 著者:坂口安吾
そして、人に縋ったところで、どうにもならないということを悟り、そういうところから
厭人的になり、やがて、神経が消耗してしまう。僕の応接間と、精神病院の外来室との違....
「小さな山羊の記録」より 著者:坂口安吾
るが、今にして思えば、精神病的徴候が、すでにハッキリ現れていたのである。つまり、
厭人癖である。そして、一種の被害妄想である。ちょッとした思考力の集中持続にすら苦....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
然し、日本に戻ってからの九十郎には、言葉に不馴れのせいもあって、それは非道い、
厭人癖が現われていた。のみならず、声音までも変ってしまって、その豊かな胸声は、さ....
「愛読した本と作家から」より 著者:黒島伝治
として表現して、始めて、価値がある。殊に、モリエールの晩年の「タルチーフ」や、「
厭人家」などは、喜劇と云っていゝか、悲劇と云っていゝか分らないものだ。それだけに....
「日記」より 著者:宮本百合子
冷淡な老独身者で、世の中に、利害関係に支配されない友愛などと云うものはないと云う
厭人的人生観を持って居る。が、妹の家族にだけは愛を持って居、その愛を、することな....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
)に。――わが死後、この意志の遂行さるべきために。 おお、お前たち、――私を厭わしい頑迷な、または
厭人的な人間だと思い込んで他人にもそんなふうにいいふらす人々よ、お前たちが私に対....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
病気は僕の行く先々にまるで幽霊みたいに立ちふさがって、僕は人間を逃げていた。僕は
厭人家と見なされるようにするより他に仕様がなかった――実は少しも人間嫌いでは無い....