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厳い
「厳い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
厳いの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「朱日記」より 著者:泉鏡花
云う源助の鼻も赤し、これはいかな事、雑所先生の小鼻のあたりも紅が染む。 「実際、
厳いな。」 と卓子の上へ、煙管を持ったまま長く露出した火鉢へ翳した、鼠色の襯衣....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
別に来歴がある。それは或時宗右衛門が家庭のチランとして大いに安を虐待して、五百の
厳い忠告を受け、涙を流して罪を謝したことがあって、それから後は五百の前に項を屈し....
「見えざる敵」より 著者:海野十三
ぬ人なき大東新報社長ジョン・ウルランドその人に外ならなかった。ウルランド氏は、謹
厳いやしくもせぬ模範的紳士として、社交界の物言う花から覘いうちの標的となっていた....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
は前よりも年を取っていた。壮年の盛りの男であった。彼の顔には、まだ近年のような、
厳い硬ばった人相は見えなかったが、浮世の気苦労と貪欲の徴候は既にもう現われ掛けて....
「竈の中の顔」より 著者:田中貢太郎
の邪魔と云うことはないが、すこし理由があってな、まあ、お茶でも沸かそう」 僧は
厳い親しみのない眼をしていた。 「お茶は沸かさなくても、別に飲みたくもないから、....
「先生の顔」より 著者:竹久夢二
きでした。 森先生に呼ばれて、葉子はそのノートを先生の前へ出した。先生はすこし
厳い顔をしてノートを開けて御覧になった。するとそこには、先生の顔が画いてあった。....
「柳原燁子(白蓮)」より 著者:長谷川時雨
会ばやり、舞踏ばやりの鹿鳴館《ろくめいかん》時代、明治十八年に生れた。晩年こそ謹
厳いやしくもされなかった大御所《おおごしょ》古稀庵《こきあん》老人でさえ、ダンス....
「金狼」より 著者:久生十蘭
ドで、阪神国道のほうへ走りはじめた。自動車が走りだすと、陽やけした、軍人のような
厳い顔をほころばせながら、山瀬が、いった。 「……お目でとう。結婚したそうだね。....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
に入ってその楽しみを続けた。その時の楽しみは一生忘れられません。その翌日は非常に
厳い坂で三途の脱れ坂というのを踰えねばならん。ところが幹事は誠に親切な人でヤクを....
「死者の権利」より 著者:浜尾四郎
たる司法官までが、この侮辱罵詈を認め、又は容れた如くに信ぜられる場合、私は法の尊
厳いずれにありやといわずにはいられないのです。 仮令、如何なる理由があるとも、....
「悪僧」より 著者:田中貢太郎
したら、お父さまのお出ましがありました」 「ほう、今朝、鵲が鳴いた」と、老宰相は
厳い眼をして夫人の顔を見たが、またおもいかえしたように、「二十年も昔のことだが、....