厳めしい[語句情報] » 厳めしい

「厳めしい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

厳めしいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
から引放した肉だけにお前の身売りをすると、そこに実質のない悪魔というものが、さも厳めしい実質を備えたらしく立ち現われるのだ。又お前が肉から強いて引き離した霊だけ....
「地球盗難」より 著者:海野十三
、ともに空中に消えてしまったのであった。あとに残るものは何であるか。それは徒らに厳めしい塀と、杜の中の大きな檻と、門番小屋と、多分それだけであろう。辻川博士の怪....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
水孔から、落ち込んだ水が流れ出ているのである。また、中室との境界には、装飾のない厳めしい石扉が一つあって、側の壁に、古式の旗飾りのついた大きな鍵がぶら下っていた....
「千早館の迷路」より 著者:海野十三
の塀が三ヶ所において崩れているのを、素知らぬ顔で見て過ぎた。それに反して、正面の厳めしい鉄門も、裏口にある二つの潜り門も共に損傷がなく、ぴったりと閉ざされていて....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
事写真の一つに眼を止めた。「逝ける一宮大将」とあって、太い四角な黒枠に入っている厳めしい正装の将軍の写真だった。その黒枠を見たとき、彼は電光の如く、さっきの奇妙....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
を、がく、と俯向けて唄うので、頸を抽いた転軫に掛る手つきは、鬼が角を弾くと言わば厳めしい、むしろ黒猫が居て顔を洗うというのに適する。 ――なから舞いたりしに、御....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
ります、お爺様、さ、私と一所に。」 十四 円に桔梗の紋を染めた、厳めしい馬乗提灯が、暗夜にほのかに浮くと、これを捧げた手は、灯よりも白く、黒髪が....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
かの主張を見せているようだ。尠なくともかの女にはそう感じられ、ささやかな竹垣や、厳めしい石垣、格子のカナメ垣の墓囲いも、人間の小さい、いじらしい生前と死後との境....
「怪しの者」より 著者:国枝史郎
から離れ、職人風の男の側へ寄って来ましたが、 「これ其方そこで何をしておる」と、厳めしい口調で申されました。 「川を見ているのでございますよ」そう職人風の男は申....
「赤格子九郎右衛門」より 著者:国枝史郎
叛将イルマ将軍に依って、占領されているのであった。 それは月の無い深夜である。厳めしい宮殿の裏門には、槍を握った叛軍の衛兵が、五人列んで佇んでいたが、不意に一....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
舎ではあり人通りなどは一人もなく写山楼でも寝てしまったか燈火一筋洩れても来ない。厳めしい表門の前まで来て紋太郎は立ち止まった。 「まさかここからは忍び込めまい。....
「鸚鵡蔵代首伝説」より 著者:国枝史郎
さい、無礼、なんて、大変威張るのね、いっそ可愛いいわ。……そうねえ、そんなように厳めしい言葉づかいするところをみると、やっぱりお武士さんには相違ないわね」 女....
「火の扉」より 著者:岸田国士
だと言うものもあり、暴風の警戒が出たからだと主張するものもあつた。しかし、一人の厳めしい洋服姿の男が、薄笑いの中で言葉を濁しながら、近頃、機雷がおびたゞしく流れ....
「子をつれて」より 著者:葛西善蔵
て大きな角張った顔で、鬚が頬骨の外へ出てる程長く跳ねて、頬鬚の無い鍾馗そのまゝの厳めしい顔をしていた。処が彼が瞥と何気なしに其巡査の顔を見ると、巡査が真直ぐに彼....
「お姫さまと乞食の女」より 著者:小川未明
そのお城はもう古い、石垣などがところどころ崩れていましたけれど、入り口には大きな厳めしい門があって、だれでも許しがなくては、入ることも、また出ることもできません....