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厳粛
「厳粛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
厳粛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
な手をたたきながら、ころげるようにして茶の間の方へ逃げて行った。
馬琴の心に、
厳粛な何物かが刹那《せつな》にひらめいたのは、この時である。彼の唇には幸福な微笑....
「春」より 著者:芥川竜之介
主義者であるとも極言した。辰子は姉とは反対に兄にも妹にも同情していた。姉の意見は
厳粛《げんしゅく》な悲劇をわざと喜劇に翻訳する世間人の遊戯であるなどとも言った。....
「沼地」より 著者:芥川竜之介
かも知れない。しかし彼の期待は二つとも無駄になった。彼の話を聞くと共に、ほとんど
厳粛《げんしゅく》にも近い感情が私の全精神に云いようのない波動を与えたからである....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
郷隆盛が僕と一しょに、今この汽車に乗っていると云う事です。」
老紳士はほとんど
厳粛に近い調子で、のしかかるように云い切った。日頃から物に騒がない本間さんが、流....
「葬儀記」より 著者:芥川竜之介
わない。僕はいろんな人の名刺をうけとるのに忙殺された。
すると、どこかで「死は
厳粛である」と言う声がした。僕は驚いた。この場合、こんな芝居じみたことを言う人が....
「少年」より 著者:芥川竜之介
太い線が三尺ばかりの距離を置いたまま、土埃《つちほこり》の道を走っている。保吉は
厳粛に考えて見た後《のち》、とうとうその答を発明した。
「どこかの子がつけたんだ....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
える風景だった。それらは皆電燈の光に、この古めかしい応接室へ、何か妙に薄ら寒い、
厳粛《げんしゅく》な空気を与えていた。が、その空気はどう云う訣《わけ》か、少将に....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
廉恥漢の非難を受けた後に、やっと良心を捉えることである。
*
良心とは
厳粛なる趣味である。
*
良心は道徳を造るかも知れぬ。しかし道徳は未《....
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
よ》興奮し、何か又船長に話しかける。船長は何とも返事をしない。が、殆《ほとん》ど
厳粛に「さん・せばすちあん」の顔を見つめている。
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半ば帽子のか....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
は心なく笑ってしまった。然し、今はそれも笑ってはいられない。
深夜の沈黙は私を
厳粛にする。私の前には机を隔ててお前たちの母上が坐っているようにさえ思う。その母....
「星座」より 著者:有島武郎
音がしばらく続いて、それから元どおりな規則正しい音に還《かえ》った。
あまりの
厳粛《げんしゅく》さに園はしばらく茫然《ぼうぜん》としていた。明治三十三年五月四....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ないだけに、命とかけがえの真実な仕事であるだけに、言葉には現わし得ないほど尊さと
厳粛さとを持っている。ましてや彼らがこの目ざましいけなげな生活を、やむを得ぬ、苦....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
か。 思えばそれは嶮しい道でもある。私の主体とは私自身だと知るのは、私を極度に
厳粛にする。他人に対しては与え得ないきびしい鞭打を与えざるを得ないものは畢竟自身....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
つ偉大なる人生よ。」 ラザルスは沈黙を続けていると、皇帝はますます高潮して来る
厳粛の感に堪えないように、なおも言葉をつづけた。 「死の牙から辛うじて救われた、....
「ドモ又の死」より 著者:有島武郎
ますといった。……ところで、これからがほんとうの計略になるんだが、……おいみんな
厳粛な気持ちで俺のいうことを聞け。おまえたちのうち誰でも、この場に死んだとして、....