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去り難い
「去り難い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
去り難いの前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「語られざる哲学」より 著者:三木清
難い寂しさは盲《めし》いたる眼で闇の中を当《あ》て途《ど》もなく見廻わそうとし、
去り難い悩しさは萎《な》えたる手でいたずらに虚空を掴《つか》もうとした。日の輝く....
「伸子」より 著者:宮本百合子
ものだと伸子は思った。そこが自分の苦しんだところだというばかりに、先ず家からさえ
去り難い思いをさせられる。何でもない竹垣の根元の万年青《おもと》などが印象の真正....
「高浜虚子著『鶏頭』序」より 著者:夏目漱石
、独特もしくは連想の興味を起して、左から眺《なが》めたり右から眺めたりして容易に
去り難いと云う風な趣味を指すのである。だから低徊趣味と云わないでも依々趣味、恋々....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
。 お銀様はそこでちょっと頭脳を転換させられたけれども、ただなんとなく、急に立
去り難いものがある。せめて、あの船の着くのを見ていてやりたいような気分から、傍《....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
いい。つまり旅の難儀の気持である。然るに従来この句を、稲日野の景色が佳いので、立
去り難いという気持の句だと解釈した先輩(契沖以下殆ど同説)の説が多い。併しこの場....
「天草四郎の妖術」より 著者:国枝史郎
俟って往来の人々の眼を欷て別ても若い女などは立ち止まって見たり振り返って眺めたり
去り難い様子を見せるのでした。 四郎は無心に海を見乍ら港を当て無く歩いていまし....
「読書遍歴」より 著者:三木清
も静かな、落ち着いていた時期であった。予定した滞在の期限が切れても、私はなかなか
去り難い思いであった。どうしようかと迷っていたとき、私の心の中に蘇ってきたのは、....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
もりである。 ――だがそれも、帰国の叔父を待って、祖父の本葬をした上でなければ
去り難い。なるべく途中まででも送ってやりたいが、そういう訳だから、其女が先に立つ....