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「反って〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

反っての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
アグニの神」より 著者:芥川竜之介
んは三百弗の小切手を見ると、急に愛想がよくなりました。 「こんなに沢山頂いては、反って御気の毒ですね。――そうして一体又あなたは、何を占ってくれろとおっしゃるん....
彼の長所十八」より 著者:芥川竜之介
し由。 十八、正直なる事。嘘を云わぬと云う意味にあらず。稀に嘘を云うともその為反って正直な所がわかるような嘘を云う意味。....
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
う前日だった。お芳がこの家を去ることは重吉夫婦には嬉《うれ》しいらしかった。が、反ってお鳥には一層苛立たしさを与えるらしかった。甲野は髪を結びながら、甲高《かん....
死後」より 著者:芥川竜之介
ものと結婚したか? それはまだ許せるとしても、妻は櫛部某の卑《いや》しいところに反って気安さを見出している、――僕はそこに肚《はら》の底から不快に思わずにはいら....
杜子春」より 著者:芥川竜之介
みながら言いました。 「なれません。なれませんが、しかし私はなれなかったことも、反って嬉しい気がするのです」 杜子春はまだ眼に涙を浮べたまま、思わず老人の手を....
豊島与志雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
ているのも不思議はない。 だから何も豊島は「何時でも秋の中にいる」訳ではない。反って実は秋が豊島の中にいるのである。....
歯車」より 著者:芥川竜之介
んだと見え、「御免なさいまし」と声をかけた。彼女だけは彼等よりもませているだけに反って僕には女生徒らしかった。僕は巻煙草を啣えたまま、この矛盾を感じた僕自身を冷....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
っていた。 今日の回向院はバラックである。如何に金の紋を打った亜鉛葺きの屋根は反っていても、ガラス戸を立てた本堂はバラックという外は仕かたはない。僕等は読経の....
三つのなぜ」より 著者:芥川竜之介
女等を愛撫する時でも、ひそかに彼女等を軽蔑していた。しかしシバの女王だけは時には反って彼自身を彼女の奴隷にしかねなかった。 ソロモンは彼女の奴隷になることを恐....
森先生」より 著者:芥川竜之介
話の中、西廂記と琵琶記とを間違え居られし為、先生も時には間違わるる事あるを知り、反って親しみを増せし事あり。部屋は根津界隈を見晴らす二階、永井荷風氏の日和下駄に....
」より 著者:芥川竜之介
の仕事をすますと、いつもよりも一層がっかりした。と云ってわたしの部屋にいることは反ってわたしには落ち着かなかった。そこでやはり下宿の裏の土手の上へ出ることにした....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
し。誰が婆さんくらいに恐れるものか。」と、うっちゃるように答えましたが、泰さんは反ってその返事に人の悪るそうな眼つきを返しながら、「何さ。婆さんを見たんじゃ驚く....
」より 著者:芥川竜之介
この池に竜などが居りましょうかいな。』と、とぼんと法師の顔を見上げますと、法師は反って落ち着き払って、『昔、唐《から》のある学者が眉《まゆ》の上に瘤《こぶ》が出....
星座」より 著者:有島武郎
て、にこやかに客を見上げた。つつましく左手を畳についた。その手の指先がしなやかに反って珊瑚《さんご》色に充血していた。 意外なというごくごくささやかな眼だけの....
大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
木やさんは、少し痲の気でお小用が永いですから、急に止める訳にもいかず、此方を振り反って見て、「おいおい、そう引くな、少し待って呉れ」と言ってたというのです。』 ....