取って置き[語句情報] »
取って置き
「取って置き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
取って置きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「M侯爵と写真師」より 著者:菊池寛
に擬せられたことがありましたね。その時S新聞だったと思いますが、「M侯爵は日本の
取って置きの人物だ。有事の日に使用すべき切り札だ。今内閣を組織させるのは惜しい」....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
はは、馬鹿野郎め、定めし嚇かされたろうな」 「嚇かしもしねえが、ちっとばかり口を
取って置きましたよ。そこで、ちょいと伺いたいのですが、ここらに長崎者はいませんか....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いたが、葬式は極めて簡単なものであった。山城屋から三両という送葬《とむらい》料を
取って置きながら、こんな投げ込み同様のことをするとは随分ひどいやつだと半七は思っ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
すやと御寐になっていらっしゃいます、と云う。 悄々玄関へ戻って、お嬢さんは、と
取って置きの頼みの綱を引いて見ると、これは、以前奉公していた女中で、四ッ谷の方へ....
「ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
不思議である。唯、隅っこの席へ行ってドカリと腰を下ろす。そこは彼のために、いつも
取って置きの場所だった。そこで彼は悠々と一本の煙草を取り出す。するとまた大騒ぎで....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
しくも亦、解せなかった。これは早く外遊さして刺戟するに如かないと考えた。伯母は、
取って置きの財資を貢ぎ出して、追い立てるようにわたくしの一家を海外に送ることにし....
「天主閣の音」より 著者:国枝史郎
」 「ご忠告か、有難えなあ」俄に香具師は苦笑した。 「悪いことは云わねえ。機嫌を
取って置きな。それには眠剤が一番いい。吹管を付けて献上して見るさ」 「うん、可い....
「什器破壊業事件」より 著者:海野十三
た。だが帆村は、光枝の耳にそっと口をよせて、 「まだ悲観するのは早い。もう一つ、
取って置きのタネがあるんだ」 「まあ、それはほんとですの。そのタネは、なあに」 ....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
運ぶのだそうで、床の間の壁裏が、その隣座敷。――「旦那様の前ですけど、この二室が
取って置きの上等」で、電報の客というのが、追ってそこへ通るのだそうである。―― ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
さいますと、どうでしょう、炬燵で温めた襦袢を着せて、東京のお客じゃそうなと、な、
取って置きの着物を出して、よう勤めて帰れや言うて、御主人が手で、駒下駄まで出すん....
「唇草」より 著者:岡本かの子
誓いの言葉やら、逞ましい情熱で自分を襲って、自分から処女も処女の豊かな夢をも奪い
取って置きながら、三年たつか経たないうちに、自分の勝手な失望に耽溺する尾佐を無責....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
に靴の尖まで陽が当る。踊の組子なら影の垣に引っ込されてスターにだけ浴せかけられる
取って置きの金色照明を浴びたようで何だか恥かしい――わたしは威張って見えやしない....
「ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
て窓を閉めリョウマチスらしい左の肘を右の手で揉みながらしっかりと座に即いて最後に
取って置きのお愛想をするのだと言わんばかりに自分の言葉に貴重さを響かしてこう言っ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
んだからね。それという時の要心だ、私どもじゃ、媽々にいいつけて、毎晩|水瓶の蓋を
取って置きました。」 「へい、火事ならまあ、蓋を取る内も早いが可いというんでしょ....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ば人なき所を渡って行かれる」という詳しい話をしてくれるです。私は一々|其言を書き
取って置きまして外の人が来た時分にその話を材料にして尋ねると、そこにはこういう危....