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「取りも直さず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

取りも直さずの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る嬰児殺しの動機」より 著者:佐左木俊郎
検事はどうしていいか分からなくなってきた。彼女の犯罪の動機となった情夫! それは取りも直さず自分ではなかったか? 彼女の犯罪の裏に情夫のあることを主張したのが自....
性急な思想」より 著者:石川啄木
の仕事の土台であるという事――従来の定説《じょうせつ》なり習慣なりに対する反抗は取りも直さず新らしい定説、新らしい習慣を作るが為であるという事に気が付くことが、....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
状態になる。脈が聴きとれず消えなんとし、体温は死温程度にさがってくる――それは、取りも直さず冬眠とおなじ状態だ。 ことによったら、異常な寒気に逢った場合、そう....
近時政論考」より 著者:陸羯南
り。彼すでに十五年の聖詔にしたがって立憲政体を是認したり。立憲政体の義においては取りも直さず責任内閣を包含せり。しかして藩閥内閣なるものの義においてはいかに弁護....
蟹工船」より 著者:小林多喜二
りの露助の真似をして、飛んでもないことをケシかけるものがあるとしたら、それこそ、取りも直さず日本帝国を売るものだ。こんな事は無い筈だが、よッく覚えておいて貰うこ....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
うにもしょうがないのでございましょう。 高天原の神界から一|段降ったところが、取りも直さずわれわれの住む大地の神界で、ここに君臨遊ばすのが、申すまでもなく皇孫....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
判るだろう。それから僕が、その機構と殺人具とを繋ぐ不思議な型の歯車と云ったのが、取りも直さず、あの筒提灯だったのだよ」 「だが、どうしてそれと判ったね?」熊城は....
赤格子九郎右衛門の娘」より 著者:国枝史郎
――手紙の文字は尚つづく。 「……知らぬこととは云いながら兄妹契りを結ぶとは取りも直さず畜生道。二人ながら活きては居られず、かつは頭領の命令もあり、今宵忍ん....
夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の場所を脱出したものか――問題は再び密室で行き詰まってしまうのですよ」 「それが取りも直さず、孔雀明王の秘蹟では御座いませんか?」と盤得尼は、透かさず眉を張って....
明治の戦争文学」より 著者:黒島伝治
る「際物的」に戦争小説が流行したとき、それぞれ、こぞって動員されている。これは、取りも直さず、これらの諸作家が平常の如何に関らず戦争に際して、動員され得るだけの....
甲州郡内妖怪事件取り調べ報告」より 著者:井上円了
にゆえに最初より談話をなさざりしか。かく熟練してついに談話するに至れりというは、取りも直さず、かの女子の所為なることの確証にあらずや。(以下次号) 第五に、予....
二葉亭四迷」より 著者:内田魯庵
ので政治となり外交となったのである。二葉亭が「文学では死身になれない」というは、取りも直さず文学のような生柔しい事ではとても自分の最大苦悶を紛らす事が出来ないと....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
「汝らは決して我が死を歎くに及ばぬ、我が業力ここに尽きて今日めでたく往生するのは取りも直さずわが悪因業ここに消滅して今日より善因業を生ずるのである。決して汝らが....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
足や胸は痩せ細り、腐った死屍の肉に取り付いて貪り食っている地獄の図の中の餓鬼は、取りも直さず自分に思えた。彼は湯に入ったとき自分の身体を撫で廻してみて、あまりに....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
んで行くという人生の大道です。 仏教の言葉で、「煩悩即菩提」(迷いや欲の本性は取りも直さず悟りのもと)と言ったり、「凡聖|不二」(愚かしい心と霊知の心と根は一....