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「取り分〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

取り分の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
げたいくらい、いかにももの静な御威光がございました。 が、大殿様と若殿様とが、取り分け違っていらしったのは、どちらかと云えば、御気象の方で、大殿様のなさる事は....
或る女」より 著者:有島武郎
壺《たんつぼ》に捨てた。日本から木村に持って行くように託された品々をトランクから取り分けた。その中からは故郷を思い出させるようないろいろな物が出て来た。香《にお....
或る女」より 著者:有島武郎
く頼もしくのみ見えるその底からふっと悲しいものが胸をえぐってわき出る事があった。取り分けて快活ではあったが、葉子は幼い時から妙な事に臆病《おくびょう》がる子だっ....
鷺娘」より 著者:大倉燁子
ぎらいの強気だ。金持ちのお嬢さんでふたりは学校以外にいろいろなことを仕込まれたが取り分け舞踊は両方の親達が好きだったので、六才の六月から稽古にやられ、まゆみも光....
豆腐買い」より 著者:岡本かの子
字の手本が麻のテーブル掛けの上に載っていた。お京さんは萩の餅をフォークで西洋皿に取り分けながらいった。 ――異人さんはやっぱり異人さんね。 取り分けた皿を三角....
有喜世新聞の話」より 著者:岡本綺堂
たびか大丸や越後屋へも足を運んだ。そうしたあわただしいうちに年も暮れて、ことしは取り分けて目出たいはずの明治十五年の春が来た。二月の紀元節の夜にいよいよ婚礼とい....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
帷幄に参じて敵軍掃蕩の大方針を定める者があろうか。諸人の不安は実にここにあった。取り分けて小坂部はその点に就いては、かれの若い胸を痛めていた。 明け暮れに胸を....
籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
《たの》む物のないことを今更のように思い知って、まず剣術を習った。柔術を習った。取り分けて剣術に趣味をもって毎日精出して習ったために、後には立派な腕利きとなった....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
。清元の上手な徳さんもお玉さんも、不幸な母と同じ路をあゆんでゆくらしく思われた。取り分けてお玉さんは可哀そうでならなかった。母は鬼婆、娘は狂女、よくよく呪われて....
子供役者の死」より 著者:岡本綺堂
しいような顔をして見送っていました。中には悲しそうに涙ぐんでいるのもありました。取り分けて肝腎の花形の六三郎の顔が駕籠の垂簾にかくされているのを、残り惜しく思う....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
父の使いに駈けあるいていた。低能児ながらも親思いであるということが、倉部巡査には取り分けていじらしくも思われて、彼が駐在所の前を通るたびにきっと声をかけて、かれ....
鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
違なかったが、自体が内気な生まれつきで、世間というものをちっとも知らないお染は、取り分けて今夜が悲しかった。悲しいというよりも怖ろしかった。彼女はもう座敷にいた....
馬妖記」より 著者:岡本綺堂
叫びを聞き付けて駈け集まったのであるが、もうおそかった。伝十郎も口惜しがったが、取り分けて甚七は残念がった。彼は宵の恥辱をすすごうとして、火縄をむやみに振って駈....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
なかった。 こうなると近所迷惑で、長屋中のものはみな自身番の取り調べをうけた。取り分けて母のおちかは、自分が娘を絞め殺して置いて、わざと家を留守にしていたので....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の色が鼠に染まって、今にも白い物がこぼれ落ちそうな暗い寒い影に掩われているので、取り分けて夕暮が早く迫って来たように思われた。先方でも傘を貸してやろうと云ってく....