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取り止め
「取り止め〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
取り止めの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
は、真佐子であった。 真佐子の無性格――彼女はただ美しい胡蝶のように咲いて行く
取り止めもない女、充ち溢れる魅力はある、しかし、それは単に生理的のものでしかあり....
「河明り」より 著者:岡本かの子
……私はどうしたらいいであろうと途方にくれるのであった。だが、私は創作上こういう
取り止めない状態に陥ることには、慣れてもいた。強いて焦せっても仕方がない、その状....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
。 「あたし、何だか、この頃、精神も肉体も変りかけているようで、する事、なす事、
取り止めありませんの。しかし考えてみますのに、もしあたしたちに一人でも娘があった....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
去年は目ざましい咲き方をして見せたのに、石垣にたたきつぶされて、やっと命だけは
取り止めたが、花はただの一輪も咲かなかった。(大正十三年七月、渋柿) ....
「映画芸術」より 著者:寺田寅彦
がる連想の活動を刺激することによって「憧憬のかすみの中に浮揺する風景や、痛ましく
取り止めのつかない、いろいろのエロチックな幻影や、片影しか認められないさまざまの....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
もしも私不幸にして、悪魚の餌食となりました際には、なにとぞ今回のお企て、すぐにお
取り止めくださいますよう。これがお願いにござります」 「それは成らぬ」と頼正は気....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
か唯事でない精神的打撃をうけたと見えまして、昼間は絶えず物思いに耽り、夜になると
取り止めのない譫言を云うようになりました。そして身体に眼に見えた衰えが現われて参....
「神田を散歩して」より 著者:寺田寅彦
はとにかく、私はその待ちおおせて乗った電車の上で、この「宣伝」という文字について
取り止めないいろいろの事を考えてみた。しかしその時はそれきりで、何を考えたという....
「老夫婦」より 著者:黒島伝治
むらずに清三の傍らについていた。折角、これまで金を入れたのだからどうしても生命を
取り止めたい。言葉に出してこそ云わなかったが、彼女にも為吉にもそういう意識はたし....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
り帰ったら自らも奮発し、また他の方々にもおすすめして、今までに奪われて居る商権は
取り止めて、印度の轍を踏まないように心掛けねばならないと考え、今度の旅行にその方....
「北斎と幽霊」より 著者:国枝史郎
!」 「お気を確かに! お気を確かに!」 「……一身の面目、家門の誉れ、腹切って
取り止めたわ! ……いずれの世、いかなる代にも、認められぬは名匠の苦心じゃ!」 ....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
がら専斎はズンズン診て行った。 「……一分、いやいや五厘の相違で、幸福にも生命を
取り止めたわい。……」 「専斎殿、お診断は?」 覆面の老人が囁くように訊いた。....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
尤のことと思い、何分ともよろしくと申し、この上はこの人の丹精によって師匠の一命を
取り止めるより道もないことと観念致しおった次第であった。 ところが、ここに一つ....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
く蒼ざめて来た。驚いたのはルパンのニコルである。のみならず狂乱に近くなった彼女は
取り止めのない言葉を口走ると共に肌身離さぬ短剣をスラリと引き抜いて我れと我が咽喉....
「田螺」より 著者:北大路魯山人
いうもの、あたかも霊薬が投ぜられた如く、七歳の私はめきめき元気が出て、危うく命を
取り止め、日ならずして全快した。爾来何十年も病気に煩わされたことがない。それかあ....