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「取分〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

取分の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
着せた、四ツばかりの男の児に、極めて上手な、肉叉と小刀の扱い振で、肉を切って皿へ取分けてやる、盛装した貴婦人があった。 見渡す青葉、今日しとしと、窓の緑に降り....
河明り」より 著者:岡本かの子
柳の腰模様の着物の小皺もない娘の膝の上にハンケチを宛てがい、それから、鮨を小皿に取分けて、笹の葉を剥いてやらねばならなかった。 でも、娘は素直に鮨を手に受取る....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
ましいもので、毎日の新聞を見るたびに、他人事とは思われないように胸を打たれます。取分けて私などは自分の経験があるだけに、人一倍にその労苦が思いやられます。 そ....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
さは非常に気分がいいと言って、彼は繰返して礼をいっていた。 前方の銃声がけさは取分けて烈しくきこえるので、僕たちもそれにうながされるように急いで身支度をした。....
鷭狩」より 著者:泉鏡花
の傍に、水屋のような三畳があって、瓶掛、茶道具の類が置いてある。そこの火鉢とへ、取分けた。それから隣座敷へ運ぶのだそうで、床の間の壁裏が、その隣座敷。――「旦那....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、ピカピカと小刀、肉叉、これが見事に光るので、呆れて見ていると、あがりにくくば、取分けて、で、折返して小さめの、皿に、小形小刀の、肉叉がまたきらりと光る。 「ご....
こま犬」より 著者:岡本綺堂
て、話はこれからだ。 あくる朝、僕は寝坊をして――ふだんでも寝坊だが、この朝は取分けて寝坊をしてしまって、床を離れたのは午前八時過ぎで、裏手の井戸端へ行って顔....
経帷子の秘密」より 著者:岡本綺堂
見物のみやげ話も何となく浮き立たないで、お峰親子は暗い心持のうちに幾日を送った。取分けて、お妻はかの怪しい老婆から不吉な贈りものを受けたようにも思われて、横浜行....
」より 著者:岡本綺堂
俗に木綿店というくらいだが、この川口屋は酒屋で、店もふるい。殊に商売であるから、取分けて景気がいい。朝からみんな赤い顔をして陽気に騒ぎ立てている。 初荷の車は....
」より 著者:岡本綺堂
の娘ではございません。」と、お元は声を沈ませて言った。 夫婦は顔を見あわせた。取分けて七兵衛は自分の耳を疑うほどに驚かされた。 「家の娘ではない……。どうして....
蜘蛛の夢」より 著者:岡本綺堂
きの豚を持ち出して、いつものように蚊いぶしに取りかかりましたが、その煙りが今夜は取分けて眼にしみるように思われました。 二 会津屋のむすめのお定とお....
廿九日の牡丹餅」より 著者:岡本綺堂
助は二階の六畳へ通された。きょうは晦日のお手当を持って来たのであるから、延津弥は取分けて愛想よく彼を迎えた。かれはお熊に言い付けてかの牡丹餅を持ち出させた。 「....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
打棄って置けないから、そういう時は自分の膝元へ引寄せてお椀の蓋なり小皿なりに肴を取分けて陪食させた。が、この腕白猫めは頗る健啖家で、少とやそっとのお裾分では満足....
我楽多玩具」より 著者:岡本綺堂
がありましたが、今は廃れました。それから獅子、それから黄螺。夏は水鉄砲と水出し、取分けて蛙の水出しなどは甚く行われたものでした。秋は独楽、鉄銅の独楽にはなかなか....
」より 著者:岡本綺堂
を嫌う者はありますまい。はははははは。 旅人 (力強く。)いえ、嫌われますよ。取分けて女には嫌われたり、だまされたり……。まったく哀れな人間です。 重兵衛 (....