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取払
「取払〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
取払の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「寺内の奇人団」より 著者:淡島寒月
先ず私の父の椿岳を挙げます。私の父も伯父も浅草寺とは種々関係があって、父は公園の
取払になるまで、あの辺一帯の開拓者となって働きましたし、伯父は浅草寺の僧侶の取締....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
そうな顔をしながら、 (あの、電信の故障は、直りましてございますか。) (うむ、
取払ったよ。) と頬張った含声で、 (思ったより余程さきだった。) ははあ、....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
ず、是に寄りて西入船町を限り、東吉祥寺前に至るまで凡そ長さ二百八十間余の所、家居
取払い空地となし置くものなり。 と記して傍に、寛政六年|甲寅十二月 日とある石....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
の方が西洋|造で、右の方が廻廊下で、そこが前栽になっている。一体昔の大名の別邸を
取払った幾分の造作が残ったのに、件の洋風の室数を建て増したもので、桃色の窓懸を半....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
女郎花 矢狭間も、物見も、お目触りな、泥や、鉄の、重くるしい、外囲は、ちょっと
取払っておきました。 薄 成程、成程、よくおなまけ遊ばす方たちにしては、感心にお....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
れ一人、草ばかり茂った上に、影の濃いのも物寂しい。 それに、藁屋や垣根の多くが
取払われたせいか、峠の裾が、ずらりと引いて、風にひだ打つ道の高低、畝々と畝った処....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
出来なかった。 盆やすみに、今日こそと、曳船へ参りましたが、心当りの卯の花垣は
取払われて、窪んだ空地に、氷屋の店が出ていました。……水溜りに早咲の萩が二つ三つ....
「六日月」より 著者:岩本素白
いて行くと俄に道がガランとして、だだっ広くなってしまった。夜目で分らないが、家を
取払って道でも広くしたような風に見える。で、左へ曲って、今度は高台寺下の通りを再....
「駆逐されんとする文人」より 著者:内田魯庵
学製造業に従事する気にもなれないドッチ附かずの中途半端の我々は、丁度市区改正の時
取払いになるお城の石垣と同様なものではあるまい乎。市街の子たる我々の頭は郊外生活....
「流線間諜」より 著者:海野十三
…」 と、帆村は手近の一つの樽の方へ近づいて、彼が、さっき落したと同じ蓋を手で
取払って内部を覗きこんだ。 「呀ッ、これは……」 帆村探偵は、内部を覗くと同時....
「白い蝶」より 著者:岡田三郎助
長く続いていて、一方の川の端は材木の置場である、何でも人の噂によると、その当時|
取払いになった、伝馬町の牢屋敷の木口を此処へ持って来たとの事で、中には血痕のある....
「磯部の若葉」より 著者:岡本綺堂
として鳩の群が桜の若葉をくぐって飛んで来る日には、例の「どうも困ります」が暫らく
取払われるのである。その使も今日は見えない。宿の二階から見あげると、妙義道につづ....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
ありありと私の眼に残っている。ところが、今度かさねて来てみると、堂はいつの間にか
取払われてしまって、懐かしい紫の色はもう尋ねるよすがもなかった。なんの掩いをも持....
「二階から」より 著者:岡本綺堂
決心した。 私が蜘蛛の巣を払うのは勿論いたずらではない。しかし命賭けでもこれを
取払わねばならぬというほどの必要に迫られている訳でもない。単に邪魔だとか目障りだ....
「春の修善寺」より 著者:岡本綺堂
ありありと私の眼に残っている。ところが、今度かさねて来てみると、堂はいつの間には
取払われてしまって、懐しい紫の色はもう尋ねるよすがもなかった。なんの掩いをも有た....