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取残
「取残〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
取残の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
りが女神の身体から照り放たれ、その光りの輪廓は女神の身体が進めば闇に取り残され、
取残されては急いで、進む女神の身体に追い戻る。 常陸《ひたち》の国の天羽槌雄神....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
れていた。あの土窟から出てみると、それは紡績工場とその塀越しの炭屋の倉庫との間に
取残された妙な土塊の中の洞穴であったが、ああした変な穴居者が、この整然としたT市....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
寄るところへ玉の比喩で、だんだんと集り、義勇隊を組織して行った。それには出征に、
取残された男は勿論のこと、女もあれば、老人もあった。帝都の秩序は、平時以上に恢復....
「地球盗難」より 著者:海野十三
端に、杖の灯はパッと消えてしまって、再び真の闇となった。大隅理学士は恐怖の絶頂に
取残された。何者だッ。 危険は迫る! そのとき、低い人声がどこからともなく聞....
「暗号の役割」より 著者:海野十三
をかえして急いで部屋を出ていった。 あとに袋猫々ただひとりが、森閑とした部屋に
取残された。 烏啼の館では慰労の夜宴が開かれた。 「あのポンスケ探偵も、今頃は....
「ふしぎ国探検」より 著者:海野十三
い速さで公転していくのですが、重力がなくなると、あのとおり、建物も人間も、あとへ
取残されてしまいます。そして人間もけだものも植物も、みんな死んだり枯《か》れたり....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
その助手たちが額を集めて何か議し合っている部屋へとび込んだ。 僕は、戸棚の上に
取残されたままだった。 ベラン氏が、リーマン博士の胸倉をとって、盛んに口説きだ....
「火星兵団」より 著者:海野十三
して、だだっぴろいこの秘密室の床の上には、まん中のところに、ぽっかりと四角な穴が
取残されていたのであった。
新田先生は、しずかに、柱時計の下から体を動かして、....
「太平洋雷撃戦隊」より 著者:海野十三
戦隊、万歳!」 海面を圧して、どっと喜びの声があがりました。 無念の手傷
取残された第八潜水艦 初陣に、×の哨戒艦二隻を撃沈して、凱歌をあげたわが第十三....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
は早くも桑の樹にかじりつき土塀を跨いだ。人も大根も皆|垣の外へころげ出した。狗は
取残されて桑の樹に向って吠えた。尼は念仏を申した。 尼が狗をけしかけやせぬかと....
「鐘ヶ淵」より 著者:岡本綺堂
ために二人が死んだのか、鐘がなかったために二人が死んだのか、その疑問は依然として
取残されていた。 大原はひと月ばかりの後に、ようやく元のからだになると、同役の....
「バットクラス」より 著者:岡本かの子
ると同時に米国への屈従であると云って断然許さなかった。新職業に就いた多くの友人に
取残された娘は気が違って自殺した。 夫人は一瞬この記事の小心な娘気を可憐に思っ....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
う中にも、掻巻の袖には枕が包まれ、布団の綴糸に、待人の紙綟が結ばっていそうだし、
取残した簾の目から鬢櫛が落ちて来そうで、どうやら翠の帳、紅の閨を、無断で通り抜け....
「御堀端三題」より 著者:岡本綺堂
ここの柳はその反対の側に立っているのである。どういうわけでこれだけの柳が路ばたに
取残されていたのか知らないが、往来のまん中よりもやや南寄りに青い蔭を作っていた。....
「叔父と甥と」より 著者:岡本綺堂
とはいいながら、七歳の頃よりわが手許にありたるものが、今やたちまちに消えてゆく。
取残されたる叔父の悲み、なかなかにいい尽すべくもあらず。小林蹴月君も訃音におどろ....