取落す[語句情報] » 取落す

「取落す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

取落すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
おさん」より 著者:太宰治
お勝手で夕食の後仕末《あとしまつ》をしながら、すっとその気配を背中に感じ、お皿を取落すほど淋《さび》しく、思わず溜息《ためいき》をついて、すこし伸びあがってお勝....
名人長二」より 著者:三遊亭円朝
、又火事に焼けてならんものですから、非常の時は持って逃げる積りです、混雑の中では取落す事もあり、又他から物が打付る事もありますゆえ、余ほど丈夫でなければなりませ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ばかり、自分の懐ろの中へ浴びせてしまいました。 「あッ、冷たい」 主膳は釣瓶を取落すと、釣瓶は井戸の中へ落ちました。やり損《そこ》なった主膳は、まだ釣瓶の綱の....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
っちまえ」 兵馬にきられたのが倒れる途端にお雪も倒れて、手に持たせられた手燭を取落す。この時一人の盗賊は心得て、部屋の行燈《あんどん》を蹴倒してしまったから、....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ったのを、弾きさしていたお玉の三味線にはそれがこたえて、お玉はハッと撥《ばち》を取落すばかりにしました。 ムク犬の吠える時は、お玉にとっては、きっとそれが何か....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
お絹が竜之助の手に渡しました。顫《ふる》えた手で竜之助はその湯呑を受取ろうとして取落す。 「おやおや、水をこぼして」 お絹は困って、片手で何か拭《ふ》くものを....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
伝吉退く。時に礫をなげうつものあり。 晃 (額に傷き血を圧えて)あッ。(と鎌を取落す。) 百合 (サソクにその鎌を拾い)皆さん、私が死にます、言分はござんすま....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
》には誰も何とも気がつかなかったが、印度人はブルブルと慄《ふる》えて、危なく槍を取落すところを、しっかりと持ち直して、わざとらしく横を向きました。 「はて、おか....
南さんの恋人」より 著者:豊島与志雄
にとびのって、その胸に顔を埋めた。だが、そそっかしいにも程がある、あぶなく手紙を取落すところだった。おれはそれを手伝って、オーバーの内ポケットに納めてやった。 ....
奇怪な話」より 著者:豊島与志雄
断されたとなると、如何にも重い。膝から下の切断の場合でも、馴れない看護婦などは、取落すことがままある。そのため、医者の方で、重いぞ、気をつけ給いと、よく注意して....
「壇」の解体」より 著者:中井正一
も批評家も一様にこの黒いマスクをかけて躍っているのである。もし何人かこのマスクを取落すものありとせば、彼は黒い布の下から射すくめらるる無限の視線に顔を赤めて身を....
おせん」より 著者:邦枝完二
信濃守の妹お蓮であろう。折から夕餉の膳に対おうとしていたお蓮は、突然手にした箸を取落すと、そのまま狂気したように、ふらふらッと立上って、跣足のまま庭先へと駆け降....
青蛙神」より 著者:岡本綺堂
…。どうしたのよ。 (李は二人に介抱されながら土間に倒れて、持っているピストルを取落す。ランプは明るくなりて、青蛙は光の消えたるままに残っている。薄く雨の音。入....
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
ましたから、伊之助もぞッとするほど身の毛立って、思わず持って居ました盃をバタリと取落すと、痛む方の足へ酒が掛りまして、其の染る事というものは一通りなりませんから....
木綿以前の事」より 著者:柳田国男
代の、作り話だということは察せられる。それからもう一つ、爺が団子を食べようとして取落すと、ころころと転がって鼠穴へ入ったのを、後から追掛けて尋ねて行くという話で....