»
口吸
「口吸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
口吸の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疲労」より 著者:国木田独歩
いるように思われるのは、ばかげているからな。」 大森は「ちょっと」と言って、一
口吸った煙草を灰に突っこみ、机に向かって急いで電文を書き終わり、今までぼんやり控....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
つの間に持ってはいったのか、急に煙草を吸い出したからであろうか。 「姉ちゃん、一
口吸わしたげよか」 浴衣をだらんと着たその若い娘は、陽子へ話し掛けて来た。チマ....
「西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝」より 著者:三遊亭円朝
愛の深いもので、西洋では往来で交際の深い人に逢えば互に手を握ります、追々開けると
口吸するようになると云いますが、是は些と汚いように存じますが、そうなったら圓朝な....
「断層顔」より 著者:海野十三
黄金のシガレット・ケースを婦人客にすすめた。 「困りましてございます」客は煙を一
口吸っただけだった。「……あたくし、恐ろしい顔の男に、あとをつけられていまして…....
「軍用鼠」より 著者:海野十三
はどうも物になりそうもない。彼は火の消えてしまった煙草にまたマッチの火を点けて一
口吸った。 そのとき彼がちょっと関心を持ったことがあった。それはいま書いた原稿....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
……」 取って着けたような喫み方だから、見ると、ものものしいまでに、打傾いて一
口吸って、 「……年紀は、そうさね、七歳か六歳ぐらいな、色の白い上品な、……男の....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
て居る、面倒だもんだから彼様な事を云ってる」 とマチで火を擦付け、煙草に移し一
口吸い、 由「フー……これで何んでげすね、今夜一晩船の中では何うで寝られませんな....
「二つの途」より 著者:豊島与志雄
、彼は云った。 「どうか病室の方へ。」 河村は火をつけたばかりの紙巻煙草を、一
口吸ったまま灰皿の上に捨てた。そして先に立って病室の方へ行った。前に二度来たこと....
「肉体」より 著者:豊島与志雄
ない半ば捨鉢な気持が動いていました。 夜半に、子供は乳を求めだしました。一口二
口吸っては、またぐったり眠り、暫くするとまた乳を求めます。そういうことが、二時間....
「孤独」より 著者:蘭郁二郎
あるように、…… ダガ、洋次郎は、もう答える事が出来なかった。あの貰った莨を一
口吸った時から、心臓が咽喉につかえ、体は押潰されるようにテーブルの上に前倒って、....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
を腰の袋から取出して
「ゆっくり眺めると、いい景色でござるが」
火をつけて、一
口吸って、一人の浪人の顔へ、ぷーっと、煙を吹っかけた。
「何を致す」
「斬る」
....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
いきなり飲んだら舌を焦爛《やけど》するぜ。盃の酒をチビリと飲んで椀の蓋を取って一
口吸ってまた蓋をして酒を飲む。暫く過ぎて思い出した時分にまた蓋を除《と》って吸っ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
二人がためらっている間に、負傷は首をのばして釣瓶にかぶりついた。そして水を一
口吸うと、釣瓶のなかに顔を入れたまま、眼を落してしまった。 「…………」 朝の....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
顔をして出て来た私達は、薄日を浴びて暖かい黄な感じのする闊葉樹林の穏かな空気を一
口吸っては、身体中に鬱積した灰色の毒素を吻とゆるやかに吐き出した。頭が静まると気....