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口唇
「口唇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
口唇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
半七はかれの顔色をうかがいながら訊いたが、小坊主はやはり何か躊躇しているらしく、
口唇《くちびる》をむすんだままで少しうつむいていた。 この小さい仏像について何....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いっている」 「飛んでもねえこと……。わたくしがどうしてそんな……」と、弥三郎は
口唇をふるわせながら慌てて打ち消そうとした。 「いや、おまえさんがしたんでねえこ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ったが、白く塗った顔をわざと物凄く見せるように、その眼のふちを青くぼかしていた。
口唇にも歯齦にも紅を濃く染めて、大きい口を真っ紅にみせていた。とんだ芝居をする奴....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
、ともかくも夕飯を食うことにしたが、雷はそれから小一※も鳴りつづいたので、善八は
口唇の色をかえて縮み上がってしまった。彼は眼の前にならんでいる膳を見ながら、好き....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
まい」 「そりゃあそうかも知れないわ。根岸の叔母さんが付いているから」と、お浜は
口唇をそらして皮肉らしく云った。 紋作が根岸の叔母をたずねて、ときどきに小遣い....
「省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
の腕も露な十七八歳の美少女が居て、窓枠に白いベレ帽の頭を凭せかけ、弾力のある紅い
口唇を軽くひらいて眠っていた。それから戸浪三四郎の隣りには、これはなんと水々しく....
「蠅男」より 著者:海野十三
げるしい。迷わんと、成仏しとくれやす。南無阿弥陀仏。――」 糸子はワナワナ慄う
口唇をじっと噛みしめながら、胸の前に合掌した。若い警官たちは、めいめいの心の中に....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
まいには息が続かなくなって、実に弱り果てました。その夢が醒めると、火を吹いていた
口唇がひどく腫れあがって、なんだか息が切れて、十日ばかりは苦しみました」 それ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
お前の情夫かえ」 「いいえ、決してそんなことは……」と、お鉄は急に興奮したように
口唇をおののかせた。「あいつはわたくしの仇でございます」 「その仇のわけを聞こう....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
とがらして訊いた。「いいえ、あなたはわたくしに求めなさ過ぎます。どうぞ、あなたの
口唇からもれること以外は信じるなと言って下さい」 ベアトリーチェは彼の言うこと....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
せんでした。光沢のある真珠の歯は、愛らしい微笑のときに光りました。彼女が少しでも
口唇を動かすときに、小さなえくぼが輝く薔薇色の頬に現われました。優しい整った鼻は....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
を述べて、挨拶の接吻を申し込むと、ヴィール夫人も承諾したようで、ほとんどお互いの
口唇と
口唇とが触れ合うまでになったが、手で眼をこすりながら「わたしは病気ですから....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
は影に恋しているのである。近づくことも、言葉を伝えることも出来ない。彼女の美しい
口唇から言葉をきくことも出来ない。ただ蜜蜂が蜜壺を見るがごとくに、彼は眼で彼女を....
「京のその頃」より 著者:上村松園
と言った。 地蔵盆などに小さい娘の子が、襟を二本足三本足にして貰って、玉虫色の
口唇をしたりしたのなど、ええものだった。 「桃割」「割れ葱」「お染髷」「鴛鴦」「....
「情鬼」より 著者:大倉燁子
出すように小田切さんがいいました。私はちょっと返事に詰ったものの、負け惜しみから
口唇に微笑を見せて、横を向いて居りました。するとあの人は少時暗い顔をして沈んで居....