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口実
「口実〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
口実の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
ブックを買うことにしたり、学友会の会費を出すことにしたり、――あらゆる都合の好い
口実のもとに父母の金銭を盗もうとした。それでもまだ金の足りない時には巧みに両親の....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
力さえすでになかったのでございます。と同時にまたその連中の心配を利用して、病気を
口実に結婚を延期するのも、今となっては意気地《いくじ》のない姑息手段《こそくしゅ....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
、果して夫を愛しているからだろうか。いや、いや、私はそう云う都合《つごう》の好い
口実の後《うしろ》で、あの人に体を任かした私の罪の償《つぐの》いをしようと云う気....
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
は何だかN君の同情を強《し》いたような心もちがした。同時に体《てい》の好《い》い
口実に瀕死《ひんし》の子供を使ったような気がした。
N君の帰ったか帰らないのに....
「路上」より 著者:芥川竜之介
制服なんだ。彼|曰《いわく》、是非僕の制服を借りてくれ給え、そうすると僕はそれを
口実に、親爺《おやじ》のタキシイドを借りるから。――そこでやむを得ず、僕がこれを....
「点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
或待合へ飯を食いに来ないかと云う電話をかけた。僕はその新聞記者が近く渡米するのを
口実にし、垂死《すいし》の僕の父を残したまま、築地の或待合へ出かけて行った。
....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
ようとし始めました。そこでその日も母親が、本所界隈の小売店を見廻らせると云うのは
口実で、実は気晴らしに遊んで来いと云わないばかり、紙入の中には小遣いの紙幣《しへ....
「或る女」より 著者:有島武郎
事をしみじみと感じたのであった。電話はある銀行の重役をしている親類がいいかげんな
口実《こうじつ》を作って只《ただ》持って行ってしまった。父の書斎道具や骨董品《こ....
「或る女」より 著者:有島武郎
ものが当然陥らなければならないたとえようのないほど暗く深い疑惑はあとからあとから
口実を作って葉子を襲うのだった。葉子の胸は言葉どおりに張り裂けようとしていた。
....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
書が、その途端に、松葉の燻《いぶ》る臭気《におい》がし出した。 固《もと》より
口実、狐が化けた飛脚でのうて、今時《いまどき》町を通るものか。足許《あしもと》を....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
今更大学へ行ったって、所詮|効のない事は知れ切っているけれど、……要するにそれは
口実にしたんですわ、とちょいと堅い語が交った。 夫がまた、随分自分には我儘をさ....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
のにめぐり合った。「いじめっ子」は杉浦誉四郎である。これは僕の隣席にいたから何か
口実を拵えてはたびたび僕をつねったりした。おまけに杉浦の家の前を通ると狼に似た犬....
「橋」より 著者:池谷信三郎
くかもしれません。 問。判決が下れば、監獄は橋の向うにあるのだが、被告は控訴する
口実を考えているか? 答。私は喜んで橋を渡って行きましょう。私はそこで静かに観音....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
りという。 さてロセツが何故に浅田を指名して診察を求めたるやというに、診察とは
口実のみ、公使はかねて浅田が小栗に信用あるを探知し、治療に託してこれに親しみ、浅....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
。あたかも良し同年十月二十日ドイツ皇帝カール六世が死去したので、これに乗じ些細の
口実を以て防備薄弱なりしシュレージエンに侵入した。弱国プロイセンに対する墺国女王....