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「口汚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

口汚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
女類」より 著者:太宰治
女の心を、いたずらに試みるものではありませんね。僕は、あの笠井氏から、あまりにも口汚く罵倒《ばとう》せられ、さすがに口惜しく、その鬱憤《うっぷん》が恋人のほうに....
風の便り」より 著者:太宰治
》に我等を導きいだして、この全会を飢《うえ》に死なしめんとするなり。」と思いきり口汚い無智な不平ばかりを並べられて、モーゼの心の中は、どんなであったでしょう。荒....
おさん」より 著者:太宰治
間に合う程度で、結婚してもう十年ちかくなるのに、その間いちども私をぶったり、また口汚くののしったりなさった事はありませんでした。たったいちど、夫のところへお客様....
桜桃」より 著者:太宰治
谷」 それが導火線であった。この夫婦は既に述べたとおり、手荒なことはもちろん、口汚《くちぎたな》く罵《ののし》り合った事さえないすこぶるおとなしい一組ではある....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
侍に代り合って若衆髷の帰路を遮断すると、もう柄頭《つかがしら》に手をかけながら、口汚なく挑みかかりました。 「生《なま》ッ白《ちろ》い面《つら》しやがって、やさ....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
ぢめた。」と喚き、その翌る日の組も同じ事、いずれも女は不平たらたら、男はひとしく口汚くののしられて、女子と小人は養い難しと眼をかたくつぶって観念する者もあり、家....
火薬船」より 著者:海野十三
、もうすぐ夜明けになるじゃないか。はやくむこうへいって、手伝え」 ノルマンに、口汚くしかられて、船員たちはあわてて、別の倉庫の方へかけ出していった。 瀕死の....
南地心中」より 著者:泉鏡花
真赤な目を※くと、手代をじろり、さも軽蔑したように見て、(何しとる? 汝ゃ!)と口汚く、まず怒鳴った。 (何じゃ、返事を待った、間抜け。勘定|欲い、と取りに来た....
フランダースの犬」より 著者:菊池寛
して、このやくざ野郎め、蟻にさされるとも、烏につつかれるとも、勝手にしやがれ、と口汚く罵って、それから、ぷんぷん怒りながら今度は自分で車を坂の方へ曳いて行きまし....
大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
うとする傾斜地であったが、香具師風をした八九人の男が、一人の娘を真中に取り込め、口汚く罵っていた。その娘はお錦であった。それと見て取った小堀義哉は、足音荒く走り....
役人の頭」より 著者:末弘厳太郎
してみずから神のごとくにあがめていた、欧米の文化をたちまち弊履のごとくなげうって口汚くののしりはじめました。 そうして外来思想を非難し、魂の抜けた「えせ武士道....
決闘」より 著者:神西清
不自由な目に逢って来たのだったら、無教育で薄情で利慾に飢え、一片のパンのことでも口汚なく罵り、粗野で下等で床へ唾を吐きちらし、食事中でも祈祷の時でも平気で※を出....
ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
っとのぞいた。 「ええ、忌々しいよ、のっぺり面の極道者めらが!」と、おさんどんは口汚なく罵りながら、なんとか鉄の杆にとっつかまって、ぐらぐらする樽から脱け出そう....
贋物」より 著者:葛西善蔵
飲むと、細君に向って継母への不平やら、継母へ頭のあがらぬらしい老父への憤慨やらを口汚なく洩らすことがあった。細君は今さらならぬ耕吉の、その日本じゅうにもないいい....
追放されて」より 著者:神西清
出すため、仲間を起しに行く。ぼろぼろの皮衣に歩きながら手を通し、嗄れた寝呆け声で口汚なく罵りながら、寒さに縮み上って、渡船夫たちは岸に姿を見せた。眼醒めたばかり....