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口角
「口角〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
口角の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
。」
老人は、汗にぬれたはげ頭を仰向《あおむ》けて、上目に太郎を見上げながら、
口角に泡《あわ》をためて、こう叫んだ。太郎は、はっと思った。殺すなら、今だという....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
い。肉のたるんだ先生の顔には、悠然たる微笑の影が浮んでいるのに関《かかわ》らず、
口角《こうかく》の筋肉は神経的にびくびく動いている。と思うと、どこか家畜のような....
「河明り」より 著者:岡本かの子
お嬢さーん」と大きな声で呼んだ。 九曜星の紋のある中仕切りの暖簾を分けて、袂を
口角に当てて、出て来た娘を私はあまりの美しさにまじまじと見詰めてしまった。頬の豊....
「血の文字」より 著者:黒岩涙香
て、宛も狂人が其狂気の発したるとき、将に暴れんとして起が如く、怒れる眼に朱を濺ぎ
口角に泡を吹きて立上り「私しです、はい私しです、私し一人で殺しました、全体何度同....
「斜陽」より 著者:太宰治
ばん若くて美しいお嬢さんと、カチンと強くコップを打ち合せて、ぐっと飲んで、お酒が
口角からしたたり落ちて、顎が濡れて、それをやけくそみたいに乱暴に掌で拭って、それ....
「猿ヶ島」より 著者:太宰治
は額に片手をあてたり尻を掻きむしったりしながら、ひどく躊躇をしていたが、やがて、
口角に意地わるげな笑いをさえ含めてのろのろと言いだした。 「いつ来て見ても変らな....
「ダス・ゲマイネ」より 著者:太宰治
たを呼んだのは僕だったのですか? しつれい。僕にはねえ」私の顔をちらと見てから、
口角に少し笑いを含めて、「ひとの見さかいができねえんだ。めくら。――そうじゃない....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
殺するとは筋違いで、首をチョン切られても動きまわってみせるという眉間尺の如くに、
口角泡をふいて池田蔵相にねじこみ喉笛にかみついても正義を主張すべきところであろう....
「接吻」より 著者:神西清
じめたので、お客のほうでも思わず知らずその中へ巻き込まれてしまった。藤色の令嬢が
口角泡を飛ばさんばかりの勢で、砲兵の生活のほうが遙かに騎兵や歩兵よりも楽だと論じ....
「猫と杓子について」より 著者:織田作之助
しかし、僕は「エロチシズムと文学」などというけちくさい取るに足らぬ問題について、
口角泡を飛ばして喋るほど閑人でもなければ、物好きでもありません。ほかにもっと考え....
「唇草」より 著者:岡本かの子
ねた。 「どんな家なの。どういうわけよ」 すると、従弟は唇をちょっと尖らして、
口角を狐のように釣り上げ、モナリザの笑を見せていった。嬢 「可哀そうなんだよ。そ....
「三つの痣」より 著者:小酒井不木
月ぐらいの腹をして居ました。頸部には深くくびれた絞痕が見られ、紫色をした舌が右の
口角に少しくはみ出して居りました。死後凡そ十六時間を経て居ました。その時丁度午前....
「西航日録」より 著者:井上円了
に加わりて、五人内閣を団成し、中央のテーブルと相合して梅花状をなし、悲憤のあまり
口角泡を飛ばし、切歯腕を扼し、日本男児の真相を演ずることあるも、局勢たちまち一変....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
した。 池袋の本部合宿所は“大正の梁山泊”ともいうべきもので、同人が集まっては
口角泡をとばして盛んに天下国家を論じたものだった。 建設者同盟での最大の思い出....
「芝、麻布」より 著者:小山内薫
るようになった。 談論風発では、何といっても国木田独歩が第一だった。文字通りに
口角泡を飛ばして、当時の旧文芸を罵倒した。あの刺すような皮肉は、今もなお耳底に残....