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古び
「古び〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
古びの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
る藪《やぶ》のところどころから、簇々《そうそう》とつるをのばしたその花が、今では
古びた門の柱にまといついて、ずり落ちそうになった瓦《かわら》の上や、蜘蛛《くも》....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
丁度大学を卒業した秋、信輔は法科に在学中の或友だちを訪問した。彼等は壁も唐紙も
古びた八畳の座敷に話していた。其後へ顔を出したのは六十前後の老人だった。信輔はこ....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
双幅とのほかに、装飾らしい装飾は一つもない。壁に沿うては、五十に余る本箱が、ただ
古びた桐の色を、一面に寂しく並べている。障子の紙も貼ってから、一冬はもう越えたの....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
御面倒でもあなたの御宅へ、お置きなすって下さいまし。」
牧野の妻はこう云うと、
古びた肩掛に顔を隠しながら、突然しくしく泣き始めた。すると何故《なぜ》か黙ってい....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
て、その御宮の扉を開けましたが、今|雪洞《ぼんぼり》の光に透《す》かして見ると、
古びた錦の御戸帳《みとちょう》の後に、端然と立っている御神体は、ほかでもない、こ....
「年末の一日」より 著者:芥川竜之介
い先生のお墓の前へやっとK君をつれて行った。
お墓はこの前に見た時よりもずっと
古びを加えていた。おまけにお墓のまわりの土もずっと霜に荒されていた。それは九日に....
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
は暗くて何も見えなかったが、その明るい縁さきには、猫背《ねこぜ》のおばあさんが、
古びたちゃんちゃんを着てすわっていた。おばあさんのいる所の前がすぐ往来で、往来に....
「路上」より 著者:芥川竜之介
、一間に足らない御影《みかげ》の敷石があって、そのまた敷石のすぐ外には、好い加減
古びたくぐり門があった。初子の視線を追った俊助は、そのくぐり門の戸を開け放した向....
「或る女」より 著者:有島武郎
ら、猫板《ねこいた》の上に肘《ひじ》を持たせて居ずまいをくずしてもたれかかった。
古びを帯びた蘆屋釜《あしやがま》から鳴りを立てて白く湯気の立つのも、きれいにかき....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
行交いする音を聞きながら、やがて洗い果ててまた浴びたが、湯の設計は、この邸に似ず
古びていた。 小灯の朦々と包まれた湯気の中から、突然褌のなりで、下駄がけで出る....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
条はなく鎮静した。――ところで、とぼけきった興は尽きず、神巫の鈴から思いついて、
古びた玩弄品屋の店で、ありあわせたこの雀を買ったのがはじまりで、笛吹はかつて、麻....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
止まない。 「身に沁みますね、何ですか、狐が鳴いてるように聞えます。」 木地の
古びたのが黒檀に見える、卓子台にさしむかって、小村さんは襟を合せた。 件の油煙....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
、脚を抉って満月を透したはいいが、雲のかかったように虫蝕のあとのある、塗ったか、
古びか、真黒な、引出しのないのに目を着けると…… 「有った、有った。」 と嬉し....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
て、俯向いたり、腕を拱いて考えたり、足を投げて横ざまに長くなったり、小さなしかも
古びた茶店の、薄暗い隅なる方に、その挙動も朦朧として、身動をするのが、余所目には....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
のはずれに、草鞋、草履、駄菓子の箱など店に並べた、屋根は茅ぶきの、且つ破れ、且つ
古びて、幾秋の月や映し、雨や漏りけん。入口の土間なんど、いにしえの沼の干かたまっ....