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「古紙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

古紙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
いじりに精を出している間に、葉子は悪事でも働くような心持ちで、つやにいいつけて反古紙《ほごがみ》を集めた箱を自分の部屋《へや》に持って来《こ》さして、いつか読み....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
づらを松の木へこすりつけてやろうくらいにまで怒《おこ》っていた主人が、突然この反古紙《ほごがみ》を読んで見たくなるのは不思議のようであるが、こう云う陽性の癇癪持....
あめんちあ」より 著者:富ノ沢麟太郎
、へ、へと笑う。その笑いを飲料物のように飲みこんでから、にやりと顔全体で笑う。反古紙《ほごがみ》のような顔。彼はその顔に嫌悪を催した。大方はこんなことで彼は一切....
丹下左膳」より 著者:林不忘
に、およそ人間の知識で考えられるかぎりの、ありとあらゆるガラクタが積まれて、……古紙、雑巾《ぞうきん》にもならない古着、古かもじ、焚きつけになる運命の古机、古文....
日は輝けり」より 著者:宮本百合子
で作った点ほどの卵が、そこに遺っている。今にも捨てられてしまうかもしれない一片の古紙の上に、小虫は全精力をそそぎ尽してしまうほどの努力をもって、大切な子孫を遺そ....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
つけ、本気になって勘定をし直し、長松は傍に行儀よく坐ってあくびを噛み殺しながら反古紙の皺をのばし、手習帳をつくって、どうにも眠くてかなわなくなれば、急ぎ読本を取....
量的と質的と統計的と」より 著者:寺田寅彦
。質的に間違った仮定の上に量的には正しい考究をいくら積み上げても科学の進歩には反古紙しか貢献しないが、質的に新しいものの把握は量的に誤っていても科学の歩みに一大....
十二支考」より 著者:南方熊楠
なんだところが、一八一四年頃牧師コインビャーがふと買い入れた書籍の表紙をかの書の古紙で作りあるを見出し、解き復《もど》して見ると損じ亡《うしな》われた頁も少なく....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
くよく見ると、それがみんな一茶自筆の書捨てなんですよ。知らずにいる子孫は、いい反古紙のつもりで、それを穴ふさぎに利用したものです。あんまり驚いたもんですから、わ....
昭和二年の二科会と美術院」より 著者:寺田寅彦
た。 あれだけおおぜいの専門的な研究家が集まってよくもあれほどまでに無意味な反古紙のようなものをこしらえ上げうるものだという気がする。 これに反して二科会で....
南国太平記」より 著者:直木三十五
膝の前にも、その横にも、いろいろの型の、洋式銃が、転がっていた。斉彬は、分厚な反古紙綴りの、美濃版型の帳へ、何か書いていたが、暫く、それを書き続けてから 「お揃....
昭和遊撃隊」より 著者:平田晋策
計図は僕が二年前に書いたものだ。もうこんなものは僕にとっては秘密でも何でもない反古紙《ほごがみ》同然だがね。君の国へ持って行ったら五百万円ぐらいには売れるだろう....
小説 円朝」より 著者:正岡容
せ》に着換えたいきょうこのごろ、家中がムンムとするほど炭火をおこして、その火で反古紙を貼ったものを片っ端から乾かしていった。 乾き上がると、今度はその上へ上等....
十日の菊」より 著者:永井荷風
《キセル》の脂《やに》を拭う紙捻《こより》になったり、ランプの油壺やホヤを拭う反古紙になったりして、百枚ほどの草稿は今既に幾枚をも余さなくなった。風雨一過するご....
わが母を語る」より 著者:上村松園
どき、長い棒にあてて、紙でくるくるとまく。のしはすぐ箱にしまう。紙は上の一枚は反古紙にするが、二枚目の紙は折目があったらこてで延ばし、同じ大きさの紙と一緒にして....