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「古里〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

古里の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
夜明け前」より 著者:島崎藤村
めて行ってくれ、そんなことを言って客をもてなそうとする七郎左衛門が言葉のはしにも古里の人の心がこもっていた。まったく、木曾の山村を開拓した青山家の祖先にとっては....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
そう働かしちゃ置かない。」 そう言う彼は、子弟の教育に余生を送ろうとして、この古里に帰って来たことを妻に告げた。彼もいささか感ずるところがあってその決心に至っ....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
海岸の家へ帰って行ったのも、それから間もないことであった。彼女は十六時間もかかる古里と東京を、銀座へ出るのと異らぬ気軽さで往ったり来たりするのであった。この前東....
新版 放浪記」より 著者:林芙美子
った。 更けゆく秋の夜 旅の空の 侘《わび》しき思いに 一人なやむ 恋いしや古里 なつかし父母 私は宿命的に放浪者である。私は古里を持たない。父は四国....
魚の序文」より 著者:林芙美子
上のやや丘《おか》になった灌木《かんぼく》の下に足を投げ出して二人が知っている「古里」の唄をうたい始めた。 雲雀が高く上っている。若葉が風にまるでほどけて行く....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
子守が出来たと夫婦は笑い、それにつけても、この菊之助も不憫なもの、もう一年さきに古里の桑盛の家で生れたら、絹の蒲団に寝かせて、乳母を二人も三人もつけて、お祝いの....
惜別」より 著者:太宰治
発してやるのだと意気込んでいたが、やがて夏休みになり、周さんは東京へ、私は山奥の古里に、二箇月ばかり別れて暮し、九月、新学年の開始と共に、また周さんのなつかしい....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
一|重《ぢゅう》、組んでは父のため、 二重、組んでは母のため、 三重、組んでは古里《ふるさと》の、 兄弟わが身と回向して、 昼はひとりで遊べども、 日も入相《....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
間三崎街道を通りつつ、考えなかったでもありませんが、場所と時刻だけに、また格別、古里が遠かったんです。」 「失礼ながら、御生国は、」 「豊前の小倉で、……葉越と....
落合町山川記」より 著者:林芙美子
遠き古里の山川を 思ひ出す心地するなり 私は、和田堀《わだぼり》の妙法寺の森の中....
幻の園」より 著者:豊島与志雄
々のなまなましい面影が浮ばなかったことは、筆者にとってせめてもの慰めです。これは古里の幻の園で、いにしえの心の港です。....
田沢稲船」より 著者:長谷川時雨
母親が、連れもどったのだともいわれているが、そのうちのどれにしても帰りにくかった古里《ふるさと》へ、錦子は帰らなければならなかったのだが、故郷にも待っている冷た....
神経」より 著者:織田作之助
す」 と、声が弾んで、やがて「花屋」の主人と別れて一人歩く千日前の通はもう私の古里のようであった。この二人に同時に会えたというのも偶然といえば偶然だが、しかし....
酒渇記」より 著者:佐藤垢石
えみれば おなじふもと路 南無三ぼう 数多の樽を 飲みほして 身はあき樽に 帰る古里 と、いうのが刻んである。台石の蓮花の中に、延宝八庚申正月八日とあるのは、....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
たえまなりけれ 桜花ちりしく庭を掃はねば消えせぬ雪となりにけるかな はく人もなき古里の庭のおもは花散りてこそ見るべかりけれ などの類で、前にも触れたように印象の....