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只々
「只々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
只々の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
中を恐れ入りますが、他の重大事件には私は殆んど関心を持って居りませんので。はい、
只々《ただただ》重大人物博士の失踪《しっそう》について非常なる憂慮《ゆうりょ》と....
「川中島合戦」より 著者:菊池寛
底を叩かれて、ノコノコ這い出すような謙信ではなかった。 八月十六日以来、謙信は
只々山上を逍遙して古詩を咏じ琵琶を弾じ自ら小鼓をうって近習に謡わせるなど余裕|綽....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
であった。最後の土壇場に来ても尚、跳起きて隙もあらば反噬しようとする彼の執念には
只々舌を巻くの他はない。 あゝ、在獄七年余、朝に夕に呪い続けて、いかなる手段を....
「十万石の怪談」より 著者:佐々木味津三
心意気は、思うだに颯爽として胸がすくわ。のう! 林田! そち達はどう思うぞ」 「
只々もう御勇ましさ、水際立って御見事というよりほかに言いようが厶りませぬ。山の頂....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
おるのじゃ。どうじゃな。米なぞも少しはとれるかな」 「はっ。いえ、なんともはや、
只々汗顔の至りでござりまする。――これよ! これ! な、何をうろたえおるかッ。早....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
、それゆえにお上ほどの御明君が、正邪のお目違い遊ばされたとあっては由々しき大事、
只々御明察のほど願わしゅうござります……」 一にも明君、二にも明君、只明君々々....
「老中の眼鏡」より 著者:佐々木味津三
た――」 「井伊大老の轍を踏むと申すか!」 「はっ。臣下と致しましては、只もう、
只々もう殿の御身が……」 「死は前からの覚悟ぞ!たとえ逆徒の刃に斃れようとも、百....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
政七も仙太郎も重三郎も折々来ては、小三郎の心を慰めることを申しまするが、小三郎は
只々|欝いで居まして、何時までも厄介に成って居るは気の毒だと云って、何にも商売は....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
を頭部に冠って、あれで獅子が附いてれば角兵衛獅子だが、彼は蛙だから重次郎蛙です、
只々重次郎さんの出て来る処が不思議でげすが、彼様な事は開化の今日は種切れに成りそ....
「梟啼く」より 著者:杉田久女
南で食べた西洋料理を思い出してしきりにほしがった。馴れぬ七月中ばの熱帯国の事故、
只々氷をほしがった。枕元の金盥には重湯とソップを水にひやしてあったが水は何度取り....
「別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
あの通り遂々愛想を尽かして了った。幾許自分にしても傍で見ているように理由もなく、
只々懶けるのでもないが、成程懶けているに違いない。長田は国も同じければ、学校も同....
「志士と経済」より 著者:服部之総
、如何様《いかよう》にも御所置も之《これ》有べき事|如何《いかが》御座候や。僕等
只々必死と存じ候迄、然も余処より御覧下され候より存外水火中に御座候御憐察下さるべ....
「魔都」より 著者:久生十蘭
馴々しくするのか、古市加十にすればまるで狐につままれたような心持。飽気にとられて
只々笑子の顔を瞶めるばかり。笑子は焦れったそうに加十の腕を揺すぶり、
「何とかい....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
たものゆえ、人物も事実も皆つまらぬもののみでしょうが、それは作者も承知の事です。
只々《ただ》作者にハつまらぬ事にハつまらぬという面白味が有るように思われたからそ....