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可愛さ
「可愛さ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
可愛さの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
腹が立つほど淋しく心許《こころもと》なくなった。今まで経験した事のないなつかしさ
可愛さが焼くように心に逼《せま》って来た。彼れは持った事のないものを強いて押付け....
「星座」より 著者:有島武郎
そうだ……俺は何んといってもおぬいさんが可哀そうだ。……理窟なしに可哀そうだ……
可愛さあまって可哀そうだ……俺は何んといっても悪かったなあ……生れ代ってでもこな....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
こういう時には兄甲斐《あにがい》のあるようにしてやらなければならないと、彼は妹が
可愛さに一時の不平を抑えて、すぐに橋場の奉公さきへ急いで行った。 十四....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
。あるときは剃刀で喉を突こうとした。これには父も持て余したばかりか、片輪の子ほど
可愛さも不憫さも弥増《いやま》して、かの奉公人ふたりと相談の上で、娘の恋しがる男....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
叔父の清吉と相談の上で、若殿さまを冥途《めいど》の道連れにしたらしい。清吉も姪が
可愛さに、若殿さまを二階に忍ばせて、十分に名残《なごり》を惜しませた上で、二人を....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
っちへ飛び、飛騒いでいたのであるから。 障子を開けたままで覗いているのに、仔の
可愛さには、邪険な人間に対する恐怖も忘れて、目笊の周囲を二、三尺、はらはらくるく....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
んの遺恨でこんな大疵をつけたのかと彼は紋作にはげしく食ってかかった。自分の人形が
可愛さに、思わずその仇を手にかけたと紋作はしきりに云い訳をしたが、冠蔵はなかなか....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
事を覚えろ……おとよさんのおとッつさんが、むずかしい事をいうのも、つまりわが子|
可愛さからの事に違いあんめいから、そりゃそのうちどうにかなるよ、心配せんで着々実....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
にささげてきただけに、いまだ家庭のあたたかみというものを知らず、ましてや、子供の
可愛さなど、いままで一度も考えたことのないひとだが、今度、こうして思わぬ負傷をし....
「戦時旅行鞄」より 著者:海野十三
か知れず、醤の金博士を恨むことは、居谷岩子女史が伊右衛門どのを恨む比などに非ず、
可愛さあまって憎さが十の十幾倍という次第であった。 「えいくそ。この上はなんとか....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
て、手を洗う水がないと言って、戸を開け得ない、きれいな女と感じた時は、娘のような
可愛さに、唇の触ったばかりでも。」 「ううむ、ううむ。」と呻った。 「申訳のなさ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
は外に願いのある、私の願の邪魔になります。よしそれとても、棄身の私、ただ最惜さ、
可愛さに、気の狂い、心の乱れるに随せましても、覚悟の上なら私一人、自分の身は厭い....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
子には三河守がある。武蔵将監がある。武蔵五郎がある。娘というてはお身一人じゃで、
可愛さのあまりにいつまでも小供のように思うていたが、まことにお身ももう娘盛りじゃ....
「あの顔」より 著者:大倉燁子
、眼つきだの、笑う口許だの、実に生き写しなのです。あの憎い妾に似ていると思うと、
可愛さよりも憎らしくなるものですのねえ。愛くるしい眼をじいッと見詰めていると、い....
「美人鷹匠」より 著者:大倉燁子
態度が癪に触ったのでした。私が若様に近寄って革の手袋をはめて上げながら、余りのお
可愛さに思わずちょっとお頭を撫でました。すると奥様は眉をしかめ、さもさも汚ないと....