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「可憐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

可憐の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
浅草公園」より 著者:芥川竜之介
い、無精髭《ぶしょうひげ》を伸ばした男。少年は可愛《かわい》いと云うよりもむしろ可憐な顔をしている。彼等の後《うし》ろには雑沓した仲店。彼等はこちらへ歩いて来る....
捨児」より 著者:芥川竜之介
は黙って頷《うなず》きながら、湯ざましの湯を急須《きゅうす》に注《つ》いだ。この可憐な捨児の話が、客|松原勇之助《まっぱらゆうのすけ》君の幼年時代の身の上話だと....
将軍」より 著者:芥川竜之介
いなかった。が、それだけまた彼等の顔に、晴れ晴れした微笑が漂っているのは、一層|可憐《かれん》な気がするのだった。 将軍を始め軍司令部や、兵站監部《へいたんか....
或る女」より 著者:有島武郎
まって来た。十九でいながら十七にも十六にも見れば見られるような華奢《きゃしゃ》な可憐《かれん》な姿をした葉子が、慎みの中にも才走った面影《おもかげ》を見せて、二....
或る女」より 著者:有島武郎
たわらの自分の座にすわると、貞世はその膝《ひざ》に突っ伏してすすり上げすすり上げ可憐《かれん》な背中に波を打たした。これほどまでに自分の帰りを待ちわびてもい、喜....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
れた。痙攣的《けいれんてき》に後脚で蹴《け》るようなまねをして、潤みを持った眼は可憐《かれん》にも何かを見詰めていた。 「やれ怖い事するでねえ、傷《いた》ましい....
星座」より 著者:有島武郎
潔を踏みにじってきているのだ)小癪《こしゃく》にさわった。それにしても何んという可憐な動物だ。彼の酷《むご》たらしい抱擁《ほうよう》の下に、死ぬほどに苦しみ悶え....
婦系図」より 著者:泉鏡花
。」 「うう、まあ……」と対手の血相もあり、もじもじする。 「惚れてよ、可愛い、可憐いものなら、なぜ命がけになって貰わない。 結婚をしたあとで、不具になろうが....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
抛つことが出来ない。それは私として何という我儘であろう。そして自分ながら何という可憐さであろう。 太初の事は私の欲求をもってそれに私を結び付けることによって満....
クララの出家」より 著者:有島武郎
た。それが自分の肉との最後の別れだった。彼女の眼にはアグネスの寝顔が吸付くように可憐に映った。クララは静かに寝床に近よって、自分の臥ていた跡に堂母から持帰った月....
海の使者」より 著者:泉鏡花
って浮足で飛び退った。その時は、雛の鶯を蹂み躙ったようにも思った、傷々しいばかり可憐な声かな。 確かに今乗った下らしいから、また葉を分けて……ちょうど二、三日....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
である。 ――それにつけても、お京さんは娘であった。雪の朝の不忍の天女|詣は、可憐く、可愛い。 十七 お京は下向の、碧玳瑁、紅珊瑚、粧門の下で....
」より 著者:池谷信三郎
て、尾行の刑事を撒いていた。同性愛に陥った二人の女学生は、手をつなぎ合せながら、可憐しそうに、お揃いの肩掛を買っていた。エレベーターがちょうど定員になったので、....
ドモ又の死」より 著者:有島武郎
去ったら急にまた腹がへってきた。いったい花田の奴よけいなことをしやがる奴だ。あの可憐な自然児ともちゃんも、人妻なんていう人間じみたものに……ああ、俺はもうだめだ....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
いつきもしなければ刺しもしない。こんな場合嫌悪の感を催すことなしに寧ろいたいけな可憐な感をおぼゆるものである。草鞋の踏みすぎたあとの蟻の塔はずんと凹んで、その凹....