台場[語句情報] »
台場
「台場〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
台場の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
事がなかった。ただ倉地の帰って来るのばかりがいらいらするほど待ちに待たれた。品川
台場《しながわだいば》沖あたりで打ち出す祝砲がかすかに腹にこたえるように響いて、....
「幻談」より 著者:幸田露伴
して、明治の末頃はハタキなんぞという釣もありました。これは舟の上に立っていて、御
台場《おだいば》に打付ける浪《なみ》の荒れ狂うような処へ鉤《はり》を抛《ほう》っ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
に一朱銀を取りまぜて掴んで来た。 「このくらいでいいかえ」 「むむ。よかろう。お
台場が大分まじっているな」 「お
台場は性《しょう》が悪いと云うから、なるたけ取ら....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
食ってしまったというのであった。 きのうの不出来は例外であるが、一体に近年はお
台場の獲物がひどく少なくなったらしいと老人は云った。それからだんだんと枝がさいて....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
年の八月には三隻の英艦までが長崎にはいったことの報知も伝わっている。品川沖には御
台場が築かれて、多くの人の心に海防の念をよび起こしたとも聞く。外国|御用掛の交代....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
とたたいて弟子の謡を聞いた。 明治四十三年の四月、桜の真盛りに、福岡市の洲崎お
台場の空地(今の女専所在地)で九州沖縄八県聯合の共進会があった。頗る大規模の博覧....
「鷲」より 著者:田中貢太郎
と云う櫓の音が聞えた。 某夏の微月の射した晩、夜学会をやっていた仲間の少年達と
台場の沖という処へ旗奪に往ったことがあった。
台場とは藩政時代に外夷に備えるために....
「嵐」より 著者:寺田寅彦
の上に光っているのは美しい。 寛げた寝衣の胸に吹き入るしぶきに身顫いをしてふと
台場の方を見ると、波打際にしゃがんでいる人影が潮霧の中にぼんやり見える。熊さんだ....
「英彦山に登る」より 著者:杉田久女
は急にはちきれる程の嬉しさでおどり上った。禰宜は雲仙を指し阿蘇を教えてくれた。お
台場の如き偉大なあその外輪山をその噴煙をはるかに英彦の絶頂からはじめて眺めえた時....
「回想録」より 著者:高村光太郎
いていて非常に怖しかったのを覚えている。大仏の眼玉や鼻の孔から眺めると、品川のお
台場の沖を通る舟まで見えるということであった。之が父の設計で余り岩畳に出来ている....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
のようなことをしておられた有福な人でありました。若い時、彼のペルリの渡来時分、お
台場の工事を引き受け、産を造ったのだそうで、この亀岡氏は先代の目がねによって亀岡....
「季節の味」より 著者:佐藤垢石
りきっているからである。江戸前の鰻がいい、というのもそこに関係がある。月島周りや
台場周りには、荒川の上流から下ってきて、遠い深海へ生殖に行く鰻が、居付きの鰻と交....
「父の怪談」より 著者:岡本綺堂
というべきものでは無いかも知れない。 文久元年のことである。わたしの父は富津の
台場の固めを申し付けられて出張した。末の弟、すなわち私の叔父も十九歳で一緒に行っ....
「一日一筆」より 著者:岡本綺堂
の秋を覚えた。簾の外には梧の葉が散る。(明治四十四年九月) 三 品川の
台場 陰った寒い日、私は高輪の海岸に立って、灰色の空と真黒の海を眺めた。明治座....
「春泥」より 著者:久保田万太郎
葉の屑のごみ/\散乱った道の上に焚火している四五人の人夫のむれも、そこから出るお
台場行の汽船の大きな看板も……いえばそれも震災まえにはみられなかったものである…....