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「吊上〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

吊上の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
蒲田の工場は当然疎開したものと思っていたが、欲ばっていて親工場へ吸収される値段の吊上げを試みつつあり、そしてやられて元も子もなくしたものが軒並だ。個人工場の損失....
鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
》かしい声を出しやしません。その仔猫たるや、紐でぶら下げられたのでもなく、風船で吊上《つりあ》げられているのでもなく、宙にふわふわと……」 「それは本当の猫じゃ....
少年探偵長」より 著者:海野十三
りは雨に洗われたためか、はっきりしなかった。 ヘリコプターがとんできて、空中|吊上げの放れ業をやったことは、牛丸少年の話だけで、それを証明するものがなかった。....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
という約束じゃアないか。」 「馬鹿にしてるよ。」と、お葉は蒼い顔を瞋らして、眼を吊上げた。 「だって、昨夕約束したじゃアないか。」 「知らないよ。昨夕は昨夕、今....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
似をするんだ。口惜しい、口惜しいよう」 「静かにしろ」 浅田の眉は悪鬼のように吊上がった。 「愚図々々|吐かすと、只じゃ置かないぞ」 「なんだって、只は置かな....
谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
とうとう助からなかったかなあと思う、逆さにして荷に括りつけられたのを見ると、眼は吊上って、赤い肉冠は血汐が滲んだように気味悪く、鋭く尖った爪は、空を掻いて、雉に....
二都物語」より 著者:佐々木直次郎
取囲んでいた堅固な城壁を探し求めるためであったのだ。一同が中庭まで来ると、彼は、吊上げ橋のあるのを予期しているように、知らず識らずのうちに歩き振りを変えた。とこ....
さようなら」より 著者:田中英光
絆をどこかに棄てていた。 髭ッ面の分隊長は、「気合いを入れてやる」とそんな瞳の吊上った岡田を素裸にし、古参上等兵とふたりで、掌や足の甲、両肩、下ッ腹を紫色に腫....
悟浄出世」より 著者:中島敦
だま》をじろりと上向け、一本しかない長い前歯を見せてニヤリとした。それから、上に吊上《つりあ》がった腕をブラブラさせ、悟浄の足もとまでよろめいて来ると、渠《かれ....
渋谷家の始祖」より 著者:宮本百合子
った自分に、噛み捨てるような冷笑を与えながら、正隆は女がするようにキリキリと眉を吊上げた。が、然し、坐を立つことは出来なかった。毛虫が塊ったようにしかめられた眉....
中条精一郎の「家信抄」まえがきおよび註」より 著者:宮本百合子
向きに倒れんとして辛くも首と肱とで体を支えている腹の上に、身長五分ばかりの眉目の吊上った日本兵がのって銃剣をつきつけているイギリス漫画である。三十二年後の今日の....
古き小画」より 著者:宮本百合子
った。飛んだと思ったのもほんの瞬きをする間で、十尋も地面を離れないうちに、四隅で吊上げられた玉座は、ひどい有様に揺れ始めた。王は、上で滑ってこの槍につかまったか....
私たちの建設」より 著者:宮本百合子
かしたり、輸入米が出来ると気休めをいったりするけれども、つまるところは、米の価格吊上げという、一層人民生活を破壊する方法しか実現していない。人民の生活を破壊した....
階級闘争の彼方へ」より 著者:与謝野晶子
及びその資本家と賃銀において妥協した少数の労働者とが協力して、製品の価格を不法に吊上げ、大多数の消費者たる無産階級を層一層物価の暴騰に由って苦める結果を生じます....