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「名刺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

名刺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
不思議な島」より 著者:芥川竜之介
。わたしはこう云うものですから。」 老人は僕と握手した後《のち》、悠然と一枚の名刺を出した。名刺のまん中には鮮《あざや》かに Lemuel Gulliver ....
」より 著者:芥川竜之介
長い半白《はんぱく》の髭《ひげ》を垂《た》らした、好人物らしい看守《かんしゅ》に名刺を渡した。それから余り門と離れていない、庇《ひさし》に厚い苔《こけ》の乾いた....
路上」より 著者:芥川竜之介
た事がないんでしょう。ですもの、私たちだけじゃ行かれはしないわ。」 「何、安田の名刺を貰って行けば、向うでちゃんと案内してくれますよ。」 二人がこんな押問答を....
西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
冗談ではない。――僕はこう云う人間です。」 老紳士はポケットをさぐって、一枚の名刺を本間さんの前へ出して見せた。名刺には肩書きも何も、刷ってはない。が、本間さ....
葬儀記」より 著者:芥川竜之介
ずぐずしていると、会葬者の宿所を、帳面につけるのもまにあわない。僕はいろんな人の名刺をうけとるのに忙殺された。 すると、どこかで「死は厳粛である」と言う声がし....
或る女」より 著者:有島武郎
社|絵島丸《えじままる》事務長勲六等|倉地三吉《くらちさんきち》」と書いた大きな名刺を出して葉子に渡しながら、 「わたしが事務長をしとります。御用があったらなん....
或る女」より 著者:有島武郎
った。愛子が襷《たすき》をはずしながら台所から出て来た時分には、貞世はもう一枚の名刺を持って葉子の所に取って返していた。金縁《きんぶち》のついた高価らしい名刺の....
婦系図」より 著者:泉鏡花
と肩を揺って、無邪気と云えば無邪気、余り底の無さ過ぎるような笑方。文学士と肩書の名刺と共に、新いだけに美しい若々しい髯を押揉んだ。ちと目立つばかり口が大いのに、....
紅玉」より 著者:泉鏡花
せん。そして――確に預る、決して迂散なものでない――と云って、ちゃんと、衣兜から名刺を出してくれました。奥様は、面白いね――とおっしゃいました。それから日を極め....
古狢」より 著者:泉鏡花
りました。女は承知です。すぐ帰りますから。)―― 分外なお金子に添えて、立派な名刺を――これは極秘に、と云ってお出しなすったそうですが、すぐに式台へ出なさいま....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
くれました、私は村上|八百次郎と申すものです。はじめてお目にかかります……唯今、名刺を。) (いや。) と先生、卓子の上へ両手をずかと支いて、 (三年|前から....
化鳥」より 著者:泉鏡花
つでもこうだ、極めていい。 鮟鱇は腹をぶくぶくさして、肩をゆすったが、衣兜から名刺を出して、笊のなかへまっすぐに恭しく置いて、 「こういうものじゃ、これじゃ、....
森先生」より 著者:芥川竜之介
の門前の天幕に、受附を勤めし事ありしが、霜降の外套に中折帽をかぶりし人、わが前へ名刺をさし出したり。その人の顔の立派なる事、神彩ありとも云うべきか、滅多に世の中....
ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
はこれを焔に入れて紫の光を出して、見せてやったりする。 もし外国の学者でも来て名刺を通ずると、ファラデーは実験を中止し、今まで出た結果をちょっと石盤に書きつけ....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
。対手が近眼だから似合ったわ。そこへ、いまじゃ流行らないけれども割安の附木ほどの名刺を出すと、錺職の御老体、恐れ入って、ぴたりとおじぎをする時分には、ついて来た....