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名指
「名指〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
名指の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「卑怯者」より 著者:有島武郎
本当に怒るだろう。あの泣きもし得ないでおろおろしている子供が、皆んなから手柄顔に
名指されるだろう。配達夫は怒りにまかせて、何の抵抗力もないあの子の襟《えり》がみ....
「入れ札」より 著者:菊池寛
、つながって歩けねえのは道理《ことわり》なのだから、お前さんがこいつと思う野郎を
名指しておくんなせえ。何も親分子分の間で、遠慮することなんかありゃしねえ。お前さ....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
中を、道の程《ほど》八町ばかりで、とある軒下《のきした》に辿《たど》り着いたのが
名指《なざし》の香取屋。
床《とこ》にも座敷《ざしき》にも飾《かざ》りといって....
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
かずき》を投げた。芸者達はこそこそと逃げ帰った。が、間もなく蝶子は先刻の芸者達を
名指しで呼んだ。自分ももと芸者であったからには、不粋なことで人気商売の芸者にケチ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
に置いた彼女の両手の爪は、天狗のように長く伸びていた。取り分けて人差指と中指と無
名指の爪が一寸以上も長く鋭く伸びているのを見ると、おころの死因も容易に想像された....
「河明り」より 著者:岡本かの子
は、まったく惜しい気が致します」といった。 娘は俯向いて、型のようにちょっと無
名指の背の節で眼を押えた。その仕草が、日本女性のこういう場合にとる普通の型のよう....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
印呪の浄三葉印ほどでなくとも、少なくもロダンの寺院には近いのだ。ことに、右掌の無
名指を折り曲げていた、非常に不安定な形だったので、絶えずクリヴォフ夫人の心理から....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
え隠れにあとを跟けて、その夜金竜山の奥山で、滝さん餞別をしようと言って、お兼が無
名指からすっと抜いて、滝太郎に与えたのが今も身を離さず、勇美子が顔を赤らめてまで....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
でしたけれど、もう前からの深い馴染みだというんですもの。おとといの晩呼んだときも
名指しなんです。あたしも何だかおかしいとは思っていましたけれど、まさかにそれほど....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
されてしまった。しかも、それには一つの特徴があって、右手であるばかりか、食指と無
名指とがほとんど同じ高さであり、拇指はやや横向いていて、それと、小指との識別は不....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
膚は波打って、それが薄気味悪く、燐光色に透き通って見えるのだった。左は中指右は無
名指が第二関節からない両手の甲は、骨の間がすっかり陥没して居て、指頭が細く尖って....
「最初の出品画」より 著者:上村松園
これは前の勧業博出品の「四季美人図」が評判になったためであろうか、農商務省からの
名指しで、始めからシカゴ博の御用品になされる由お達しがあり、六十円の金子が下げら....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ツブが逝れる時分に、乃公は今度どこそこに生れて来るといったそうです。ところがその
名指した場所に生れた者があって、生れて暫くすると自分の寺に帰りたいといい出した。....
「扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
洋袴のポケットへ入れていましたが、胸のハンカチを取出すとき、案外白い大きい手の無
名指にエンゲージリングの黄ろい細金がきらりと光ったのを覚えています。 その人が....
「呼ばれし乙女」より 著者:岡本かの子
った。慶四郎と姉となら、一時、ああいう話もあったのだから呼出すもよい。妹の自分を
名指して何故だろう――いつの間にか姉娘の仲子が、千歳のうしろに来て、電報を覗き込....