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名物
「名物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
名物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
たちもその集会には列席した。そして三か年の月日は早月親佐を仙台には無くてはならぬ
名物の一つにしてしまった。性質が母親とどこか似すぎているためか、似たように見えて....
「星座」より 著者:有島武郎
かった寺門がある。その寺門の左に、やや黄になった葉をつけたまま、高々とそそり立つ
名物の「香い桜」。朝の光の中で園がそれを見返った時、荒くれて黝《くろ》ずんだその....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ど、島山(夫を云う)はちっとも喫みませんから……」 八 それから
名物だ、と云って扇屋の饅頭を出して、茶を焙じる手つきはなよやかだったが、鉄瓶のは....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
有七歳にして、生まれもつかぬ不具もの――渾名を、てんぼう蟹の宰八と云う、秋谷在の
名物|親仁。 「……私が爺殿でござります。」 と姥は云って、微笑んだ。 小次....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
玄袋を引搦めて、こいつを片手。片手に蝙蝠傘を支きながら、 「さて……悦びのあまり
名物の焼蛤に酒|汲みかわして、……と本文にある処さ、旅籠屋へ着の前に、停車場前の....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
て澄ましている。人の跫音がするとね、ひっそりと、飛んで隠れるんです……この土手の
名物だよ。……劫の経た奴は鳴くとさ」 「なんだか化けそうだね」 「いずれ怪性のも....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
草の蒸さるるごとく、色に出で萌えて留まらぬ。 「狸囃子と云うんだよ、昔から本所の
名物さ。」 「あら、嘘ばっかり。」 ちょうどそこに、美しい女と、その若紳士が居....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
良漬、こいつあ水ぽくてちと中でがす。菜ッ葉が食えますよ。長蕪てッて、ここら一体の
名物で、異に食えまさ、めしあがれ。――ところで、媽々衆のことづてですがな。せつか....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
向いて、紫の半襟の、縫の梅を指でちょいと。 仁右衛門、はッはと笑い、 「おお、
名物の梟かい。」 「いいえ、それよりか、そのもみじ狩の額の鬼が、」 「ふむ、」 ....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
下さりまし。」 伊勢国|古市から内宮へ、ここぞ相の山の此方に、灯の淋しい茶店。
名物|赤福餅の旗、如月のはじめ三日の夜嵐に、はたはたと軒を揺り、じりじりと油が減....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
て莞爾して、また陳立てる。 「さあさあ召して下さい、召して下さいよ。御当地は薬が
名物、津々浦々までも効能が行渡るんでございますがね、こればかりは看板を掛けちゃ売....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
る。またこの地は禁猟の域で自然と鳥が繁殖し、後年|掟のゆるむに従って焼き鳥もまた
名物の一つになったのである。如上|捕捉する事も出来ない、御注文から脱線したとりと....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
ての歌だ、というのです。悪い洒落です。それに、弁慶に鮑を取らせたから、鮑は富来の
名物だ、と言います。多分七つ道具から思いついたものだろう、と可心もこれには弱って....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
いほどの中をもぐって出て、まず水のある処へ行きましたがね。 水ッてのは何、深川
名物の溜池で、片一方は海軍省の材木の置場なんで、広ッ場。 一体堀割の土手|続で....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
早や山茶花が咲いていて、そこを境に巣鴨の卯之吉が庭になりまさ。 もみじはここも
名物だが、ちと遅い。紅は万両、南天の実。鉢物、盆石、水盤などが、霞形に壇に並んだ....