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名花
「名花〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
名花の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
た。 蔦かずらを攀じて登り着くと、そこには良い樹を植えならべて、そのあいだには
名花も咲いている。緑の草がやわらかに伸びて、さながら毛氈を敷いたようにも見える。....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
、春光ほのかに身辺をつつみ、生みの母親もわが娘に話かけて、ふと口を噤んで見とれ、
名花の誉は国中にかぐわしく、見ぬ人も見ぬ恋に沈むという有様であった。ここに桑盛次....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
た方がとは、満更皮肉な言い分でもなくなった。 昔男ありけりと碑にも刻まれた東の
名花、ここに空しく心なき人々に弄ばれて、あわれにもまた情ない今の有様、如何にもし....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
と困ったが迷惑でもない。明るくて快活でわだかまりがない。たしかに野に咲いた一輪の
名花さ。そうは云ってもこの俺には、他に愛する女がある。姿形はまだ見ないが、小梅田....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
なく病を得て死せり。スミは叔母梅沢梅子に育てられ今日梅沢夢之助を名乗りて女剣劇の
名花たり。 まことに異常な記録である。夢之助の母カツは中橋の芸人時代に情婦の一....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
出来るものだ。女から女を漁り、功名と富とを追う嫌悪すべき壮年期の狩猟心が去ると、
名花を追うて一本の菫のそばを目もくれずに駈足する心、好意を以て寄ってくる隣人をう....
「田沢稲船」より 著者:長谷川時雨
れは、雪深い国では、何処《どこ》にもちょっと見当らない、薫《かお》りの高い一輪の
名花だった。 この娘を東京へ出して、思うままに修業をさせたら――それこそ小野の....
「荘子」より 著者:岡本かの子
姫はこのときまだこどもであった。天の成せる麗質は蕾のままで外へ匂い透り行末希代の
名花に咲き誇るだろうと人々に予感を与えている噂を秦王に聞かせるものがあった。で、....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
と知れる剥き出しの胸や腕に宝石の斑張りをした女が通った。何れドーヴィルストックの
名花の一人であろう凄い美人だ。彼女の眼は硝子張りのようにただ張って居る。瞳を一ミ....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
士無からざるも 君が忠孝の双全を得るに輸す 浜路 一陣の※風送春を断す
名花空しく路傍の塵に委す 雲鬟影を吹いて緑地に粘す 血雨声無く紅巾に沁む 命薄く....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
馬車品評会とは謝肉祭《キャルナヴァル》中の大呼物、贅沢中の贅沢、粋と流行の親玉。
名花珍草をもって軽軻《けいか》を飾るに趣向をもってし、新奇を競い、豪奢を誇り、わ....
「随筆 寄席囃子」より 著者:正岡容
「芸」とはかかるところにこそあると思われ、ことごとく私は満足だった。そういっても
名花名木に親しく接したあとのような爽やかな満足感にいっぱい包まれて、上々の機嫌で....
「艶色落語講談鑑賞」より 著者:正岡容
菊の花香を匂わせたことだったろう。ましてお絹は当初、鈴川小春と名乗って日本手品の
名花一輪、滝の白糸のごとき水芸その他を、江戸末年の各席において常に上演していたに....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
誰知らないものはない。 深秘な山には、谷を隔てて、見えつつ近づくべからざる巨木
名花があると聞く。……いずれ、佐保姫の妙なる袖の影であろう。 花の蜃気楼だ、海....
「妾宅」より 著者:永井荷風
りの男の事故《ことゆえ》、芸者が好きだといっても、当時|新橋《しんばし》第一流の
名花と世に持囃《もてはや》される名古屋種《なごやだね》の美人なぞに目をくれるので....